アドマイヤムーン、引退花道を飾る有終V!=ジャパンカップ
メイショウサムソン3着、武豊「次で巻き返したい」
「ちょっと内がゴチャついていたし、馬場も内が荒れていた。1番人気馬だから無理にインに入っていくのもどうかと思いましたから」
道中のポジションは前から9頭目、ちょうど隊列の真ん中を進んだメイショウサムソンと武豊が選んだ進路は馬場の外。「レースはすごくスムーズに進めた」というくらい何の不利もない道中だったが、最内の経済コースを突いて一足早く抜け出していたアドマイヤムーンを最後の最後まで捕らえることができなかった。
「最後のひと踏ん張りがきかなかった。昨日よりも馬場の内側が悪くなっていたし、もとから外へと考えいました。天皇賞では内を突いたけど、枠も馬場も違うから同じレースはできないですからね」
一方、同馬を管理する高橋成忠調教師も「最後は内と外の差が出たかな。勝負どころで外、外を回らされてしまったから」と、最終コーナーでの位置取りを悔やんだ。
しかし、その目はもう年末の有馬記念へと向けられている。
「もとからこの後は有馬記念を目標としていた。馬に何もなければこのまま向かうことになると思います。好調を維持できれば、今度は逆転したいですね」
武豊も“逆襲”の気持ちは同じだ。
「大きな敗戦でしたけど、次で巻き返したい」
アドマイヤムーンはこのまま引退することが発表されたため、ライバルに直接借りを返すことはできない。しかし、だからこそ、有馬記念では失地回復の勝利を挙げるしかない。
ウオッカ、最速の豪脚も4着 有馬はオーナーと相談して
「アクシデントがありながら、これだけ走れるんだからね。力があることが改めて分かったよ。一瞬、オッ!という感じがあったから」
レース後、手綱をとった四位もウオッカの頑張りに賛辞を送った。前走のエリザベス女王杯は前日オッズで1番人気ながら、右寛ハ行でまさかの当日出走取り消し。右後ろ脚の蹄周部に軽い炎症の症状があったわけだが、そこからよく持ち直し、このJC出走にこぎつけた。
「ここ一本で調整できていたら、もっと前進できていたと思う。それにしても、本当にハートの強い馬だね」
ライバル古馬陣と違って、一頓挫あった中での出走。たとえ万全の状態でも負かすのは難しい古馬トップホースを相手に、アクシデントを経験しながら見せ場タップリの4着。負けてなお、“ウオッカ強し”を十分に印象付けるレースだった。
管理する角居調教師によればウオッカを含め、2着のポップロック、5着のデルタブルースの3頭ともにオーナーと相談してから、有馬記念への出否を決めるという。
有馬記念ファン投票の中間発表では堂々の1位のウオッカ。クリスマス前の有馬では、その豪脚で日本中のファンを今度こそ酔わせてみせるか。
(文、写真=編集部・森永淳洋)
<了>