G大阪、世界でも貫く“超攻撃”=FIFAクラブW杯2008
攻撃力が売りのG大阪が得点力不足に
G大阪―アデレード 前半、攻め込むG大阪・遠藤=アデレード 【共同】
「G大阪の力を証明できた」(遠藤保仁)。「本当にホッとしている」(山口智)。3−0で快勝した初戦に続き、敵地での第2戦でも2−0と付け入るすきを与えずにアデレード(オーストラリア)を下した。直後のミックスゾーン(取材エリア)は、喜びと安堵(あんど)感に満ちていた。そんな選手たちの中で印象的なコメントを残したのがチーム屈指の頭脳派、橋本英郎だった。「素直に喜べない……。Jリーグで結果を残せていないし、あの順位だから」
内憂外患ならぬ、「内憂外喜」を抱えてきたのが今季のG大阪だ。
ACLで残した数字だけを見れば、近年J屈指の攻撃力を持つチームにふさわしい成績に見えるが、誤解を恐れずに言うならば今季のG大阪の攻めは迫力を欠く。いや、正確にはチームの売りである前線に怖さがないというべきだろう。
橋本が指摘するJリーグでの順位もさることながら、それ以上に深刻なのが得点数だ。
第33節終了時での総得点44は、リーグ8番目。この数字は、リーグ初戴冠を飾った2005年、2007年に総得点数のトップにその名を刻み込んできた大阪の雄にとって、受け入れざるものである。
「今季のG大阪はポゼッションしているだけ」
アデレードから帰国後、チームは数字の上で残っていたJリーグでの逆転優勝と来年のACL出場権を懸けた天皇杯を並行して戦う一方で、西野監督はクラブW杯に向けた希望を探し出す作業に取り組んでいた。
前線の再構築――。確かにACLの準決勝以降は、ルーカスをワントップに配置し、G大阪が誇る「中盤力」を得点に直結させる4−2−3−1を機能させてきたが、あくまでも西野監督が志向するのは、ポゼッションを強力な2トップが完結させるスタイルだ。橋本も同調する。「うちは、やっぱりFWがしっかりと得点することで方向性を打ち出して行くチーム。FWが2点ぐらい決めて、僕ら中盤の選手やDFがダメ押しするぐらいが理想だと思う」
帰国後最初の試合となる11月16日の天皇杯4回戦以降、大敗したJリーグの川崎フロンターレ戦を含めて、公式戦の3試合で西野監督はルーカスと播戸竜二を2トップに起用した4−4−2で挑むが、3戦で2トップが挙げた得点はゼロ。うち2試合は遠藤と並ぶ中盤の軸である二川孝広を半月板損傷で欠いていたとはいえ、「チャンスは(過去のシーズンと)同じぐらいあるが、決定力が足りない」(西野監督)。