田澤だけじゃない! 選手権で輝いた選手たち=第35回社会人野球選手権リポート

島尻譲

田澤、藤原、野上が完封勝利

東北楽天1位のNTT西日本・藤原は1回戦で見事完封勝利を挙げた 【島尻譲】

 11月13日から23日まで京セラドーム大阪で行われた第35回社会人野球選手権大会はトヨタ自動車の2連覇で幕を閉じた。今大会は、米大リーグ挑戦を表明している田澤純一(新日本石油ENEOS)をはじめ、10月30日のプロ野球ドラフト会議で指名された選手も数多く出場し、大きな注目を集めた。そんな選手たちの活躍を振り返る。

 都市対抗後、米大リーグ行きを熱望して国内12球団にドラフト会議での指名回避を嘆願した田澤。ファンとマスコミの注目が集まる中で重圧もあっただろうが、三菱重工神戸戦と日立製作所戦で先発して完封勝利。準決勝こそリリーフ登板で決勝打を許したが、ネット裏に集まった米大リーグスカウト陣の評価を下げることはなかった。常時140キロ台後半のストレートに、変化球でもカウントを整えることができる投球はさすがの一言だった。

 東北楽天1位指名の左腕・藤原紘通(NTT西日本)は初戦のJR四国戦で散発3安打の完封勝利。
「スライダーで空振りが取れて、ストレートとのコンビネーションが良かった」
 1対0という投手にとって最も厳しいと言われる展開でも苦しさをみじんも感じさせなかった。ただ、次のトヨタ自動車戦では左手人差し指にできたマメのために先発を回避。結局、その後の登板機会もないままに社会人野球を去ることになってしまったのは残念だった。
 また、1回戦では埼玉西武2位指名の野上亮磨(日産自動車)と福岡ソフトバンク5位指名の攝津正(JR東日本東北)の投げ合いが実現。攝津は序盤から小刻みに失点を重ねて6回でマウンドを降りたが、野上は「マウンドが堅くて、傾斜がキツイので苦労した」と言いながらも、3対0と完封勝利を挙げた。続くヤマハ戦も先発し、被安打4本で完投しながらも、ソロ本塁打2本で1対2と惜敗した。

ドラフトの目玉だった野本、長野は無安打

巨人を熱望しながら千葉ロッテに2位指名されたホンダ・長野は無安打で1回戦敗退 【島尻譲】

 横浜2位指名の藤江均(東邦ガス)は沖縄電力戦で8回無失点。日立製作所戦でも2番手で好投していたが、都市対抗と同じく味方の守備の乱れを契機に失点して敗れ去る。NOMOベースボールクラブで3年、東邦ガスで2年という社会人野球生活を「ホンマに自分を成長させてくれました。心の底から感謝しています」と大号泣しながら振り返っていた姿が印象的だった。
 同じく横浜から5位指名を受けた小杉陽太(JR東日本)は準々決勝のトヨタ自動車戦で3番手として1イニングを無失点に抑えた。東北楽天4位指名の井坂亮平(住友金属鹿島)は新日鉄広畑戦の3番手で登板。4回無失点で許した安打は1本だった。

 野手では中日1位指名の野本圭(日本通運)がトヨタ自動車戦で3打数無安打(1四球)。千葉ロッテ2位指名の長野久義(ホンダ)もJR九州戦で4打数無安打と精彩を欠き、ともに初戦敗退。社会人野球生活4年間で大舞台に強いところを見せていた東京ヤクルト5位指名の新田玄気(パナソニック)はJFE西日本戦で2安打を放つも勝利にはつながらず。東北楽天5位指名の楠城祐介(パナソニック)は出場機会がなかった。

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著者プロフィール

 1973年生まれ。東京都出身。立教高−関西学院大。高校、大学では野球部に所属した。卒業後、サラリーマン、野球評論家・金村義明氏のマネージャーを経て、スポーツライターに転身。また、「J SPORTS」の全日本大学野球選手権の解説を務め、著書に『ベースボールアゲイン』(長崎出版)がある。

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