洛南が連覇 能代工は3冠ならず=ウインターカップ2007 最終日
戦いを終えた4チームだが、それぞれが今大会で得たもの、その思いとは――。
洛南の2連覇を支えたもの
その6日後に行われた決勝戦、洛南は、福岡第一(福岡)を破って優勝を決めた。
洛南の吉田裕司コーチは、全国大会で初めて連覇できた要因の一つに、3年生のこの姿勢を挙げた。
「インターハイの時には『今年は3冠だ』とか大きなことを選手が言っていました。その時に比べると、(自分の言葉で)しっかりと選手宣誓をした田村をはじめとする3年生の気持ちがチーム全体に伝わったように感じています」
そして土壇場のフリースローのシーンで2年生の比江島慎は「ヒザを使え」と、応援席で見守る先輩から大きな声を掛けられ、同じく2年生の谷口大智も「ベンチに下がった時にアドバイスされるのがありがたかった」という。まさにチームが一丸となれたからこその勝利だった。
この洛南と最後までデッドヒートを繰り広げた福岡第一(福岡)も、並里成を中心としたチームの完成度の高さをはっきりと示した。「高校生として最後のこの大事な試合で気持ちよくプレーさせてあげたかった」と福岡第一・井手口孝コーチ。思い切りのあるプレーは、時としてファウルとなることもあった。それでも、高校を卒業後、渡米することが決まっている並里成は悔しさをグッとこらえながら口を開いた。
「競った場面で、もう一つチームになれなかった。僕自身も空回りした部分がありました。洛南のディフェンスの強さ、オフェンスの流れのよさに及ばなかったということです」
自分自身に責任を感じ、そして相手チームに敬意を払える高校生がそこにはいた。
伝統校と新鋭校を襲ったアクシデント
「満原がいない状況での準備が足りなかったということです。これはベンチの責任です」と加藤三彦コーチ。
しかし、高校生に対して、3年間でどれだけの準備が求められるだろうか。
今年のチームは、198cmのセンター・満原がアウトサイドでもプレーし、彼より18cmも身長が低い高橋健太郎がインサイドでもプレーする、独特なコンビネーションを作り上げた。それだけでも多大な労力を必要とするはず。試合後、満原は目頭を熱くさせて「自分のせいで負けました」と、口元を震わせた。それでも、「3位決定戦やオールジャパンもありますから」と満原。翌日の3位決定戦では、満原がベンチに戻ってくる後輩にアドバイスしながら、チームに貢献しようとする姿が目に飛び込んできた。
また、創部3年目にして3大大会すべてベスト4の明成(宮城)も、ウインターカップ直前に、ガードの伊藤駿が手の甲を負傷したため、苦しい戦いを強いられた。伊藤が3年間をこう振り返る。
「長いようで短かった3年間でした。毎日の練習の中身がとても濃かったように感じます。後輩たちには、明成の伝統をこれから作っていってほしい」
チームは万全の状態ではなかったが、人もボールも目まぐるしく動いて攻めるスタイル、相手の攻撃のポイントを絞り込むディフェンス面の策、そしてひたむきにプレーする選手たちの姿勢は見る者の心をつかんで離さなかった。
それでも「チームに厚みも深みもまだない」と厳しく見つめる佐藤久夫コーチ。3位決定戦で県立能代工業に敗れた後、「1日で立ち直ってくる伝統のあるチーム(県立能代工業)から学ばないといけない……」
そう言って創部4年目となる来年へと目を向けた。
ところで、準決勝で最後まで戦い抜いた洛南と県立能代工業が、2008年1月1日に東京体育館で開幕する第83回天皇杯・第74回皇后杯全日本総合選手権大会(通称:オールジャパン)に出場する。初日に県立能代工業が、1月2日にはウインターカップを制した洛南が登場。高校生たちにとっては、新たなる戦いがすでに始まっているのだ。
<了>
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