マリオン・ジョーンズの選択と人生
出所後、テレビ番組に出演
ジョーンズと言えば、2000年のシドニー五輪で全米から熱い注目を浴びたアスリートだ。彼女がいくつのメダルを持ち帰るかに誰もが関心を持った同大会で、カメラはしつこいほどに、レース前の彼女の表情を追っていた。
今でもあの場面を覚えている。ジョーンズは、何度も大きく深呼吸をし、目を閉じた。おそらく、緊張を和らげ、自らのレースをイメージし、自らの勝利を信じてレース前の時間を過ごしていたのだろう。そんな姿を見ていると、ただのテレビ観戦者のこちらまでが、ドキドキしていた。そして彼女が先頭でゴールを切った瞬間には、ホッと胸をなで下ろしたものだ。
バスケットでも名選手だったが……
それだけに、彼女が禁止薬物を使用していたと聞いた時は、誰もが落胆したに違いない。
なぜなら、五輪という世界最高峰の戦いで純粋に感動したあの場面が、すべてうそになってしまうからだ。
ただ、彼女が薬物に手を出さなくてもメダルを奪っていたのではないか? ということに関しては、私自身もそう感じている。
ジョーンズは陸上のみでなく、バスケットボールでも名選手として有名で、バスケットの名門ノースカロライナ大に進学し、1年生の時には全米制覇を達成。03年には米女子プロバスケットボール協会(WNBA)のドラフトで、フェニックス・マーキュリーから指名を受けていたほどなのだ。
それほど優れたアスリートだったのに、なぜ薬物に手を出さなければならなかったのか?
一つの誤った選択が、才能ある選手の人生をヒーローから脱落者に大きく変えてしまった。
こういうニュースが一刻も早くなくなることを願ってならない。
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