フェンシング太田、涙の就職会見「恩返しがしたい」
社会人の証し!? 名刺を掲げて笑顔の太田 【スポーツナビ】
“ニート剣士”、“フリーター”といった未就職の言葉がキャッチフレーズとなったこともあって注目を集めていましたが、この度、森永製菓さんという大企業の一社員として、めでたく入社したということは、協会にとっても大変喜ばしいことでもありますし、私よりも本人にとって大変喜び深い一日ではないかと思っております。
私ども協会としても、森永製菓さんにお願いしたいことは、4年後のロンドンに向けて、メダル獲得を狙える環境をつくってくれると期待していますが、それをあらためてお願いしたいと思っています。これからまた4年間、厳しい戦いが始まると思いますが、太田選手も十二分に集中し、日々練習に励み、また森永製菓さんのために一生懸命頑張ってもらって、また4年後には金メダルをとるように、日々の鍛錬に励んでもらいたいと思います。
■張西厚志・日本フェンシング協会専務理事
フェンシング協会としては、「太田でダメなら、北京でダメなら、今後もこの競技は発展性は望めない」という気持ちで臨んできました。太田選手が国際戦にデビューした14歳のときから彼の試合を見てきましたが、まだそのころは日本では勝てるけれども世界ではまだまだ通用する選手ではないと思っていました。ところがその後の彼の努力で、2005年度の世界ジュニア選手権では団体銅メダル、イズミルのユニバーシアードでは金メダル、アテネ五輪ではイタリアの金、中国の銀を破った。そういう太田選手の活躍があり今日の○がある。彼をみていて、必ず、世界でメダルを取ると思っていました。それが北京で達成すれば最高だと思っていたけど、銀メダルをとった。わたしは彼は必ずチャンピオンになる選手だと信じています。過去に2位は、ワールドカップで4回あります。今後、ロンドンに向けて、金をとってもらいたい。そして、できるだけ早い次期に世界選手権で金を取ってもらいたい。そういう思いで、われわれもサポートをしていきたいと思っています。
■質疑応答(一部抜粋)
――今回は社員契約だが、プロ契約は考えなかったのか?
松崎(ウイダー事業部部長)
プロ契約の場合ですと、テレビCMへ出演したり、栄養指導でサポートするという形になります。
今回の場合は、太田君の人柄を一番に買っています。もちろん、太田君がフェンシング界や、日本の宝だということは十分に分かっているのですが、それ以上に、やはり今日も彼の人柄について確信しましたけれども、どうしても彼に森永製菓の社員として働いて欲しいと思い、その中で社員という道を選ばせてもらいました。
太田 僕自身も同じです。プロではなく、アマチュアスポーツの中で、ここまで評価をしていただけたのは、森永さんありきですし、森永さんと一緒に何かやっていけたら面白いなと思いましたので、プロではなく、就職という形を取らせていただきました。