フェンシング太田、涙の就職会見「恩返しがしたい」
感極まって、涙を流した太田 【スポーツナビ】
今春の同志社大卒業後、就職先を決めずに競技に専念していた太田。“無職”状態が続いていたが、五輪での活躍で30社以上からオファーが殺到した。数ある企業から森永製菓を選んだ理由について太田は、「(森永に)恩返しをしたいと思っていた。マイナーなフェンシングという競技で、しかも高校3年の時からサポートを受けていたこともあって決めました」と、“長年の支え”を理由に挙げ、「4年後(のロンドン五輪)を、いい形で目指せる」と話した。
また会見では、感極まって涙する場面も。緊張した面持ちで会見に臨んだ太田は、所属先決定の理由などを語った後、「今まで本当にいろんな人に支えられてきた」と、両親をはじめとする、これまでの周囲のサポートに対し感謝の気持ちを語り、涙で声をくぐもらせた。
太田は、11月1日付けで正社員として森永製菓に入社し、健康事業本部ウイダー事業部マーケティング担当として配属される。具体的な業務は未定だが、商品開発・改良へのアドバイスや、PRへの協力が主になる見込み。当面の予定は、12月の全日本選手権を視野に練習を重ね、来年のワールドカップグランプリ大会などへの出場を目指す。
以下、太田ら出席者コメント。
ウイダーブランドの商品を掲げて“入社記念撮影”に臨む、森永製菓の矢田社長(左)と太田 【スポーツナビ】
人前に出るのは、あまり緊張しないタイプですが、今日はやはり、入社ということもあり、非常に緊張しております。大目に見てください。
僕自身、オリンピックが終わって、様々な環境の変化の中で、いろいろな人と出会い、いろんなことを考えて、いろんな人と話したのですが、僕が考えてきた中で、森永さんの考えと、僕の考えが、一緒だというのを僕も感じ取れました。
また高校3年生の時からサポートしていただいていたということもありましたので、お話をいただいた時に、非常にうれしく思いました。そのときは、僕もこういう風になるとは思っていなかったのですけど、本当にいい形で、4年後を目指せると僕は思っています。
やはり、僕としましても、フェンシング界を背負うということ、それから一社会人として、これからしっかりやっていかなければいけない。そういう責任感が出てくると思いますし、今まで僕を支えてくれた、大勢の人に感謝が言いたいです。
本当に、なんとも言えないですけど、いろんな人に助けていただいて、社会人になることができました。いろんな人に助けられたと思います。これからも一社会人として、日本代表の一人として頑張っていきたいと思います。本当にこれからもよろしくお願いします。
■森永製菓代表取締役社長・矢田雅之
太田選手との出会いは高校3年生のときからです。(森永のブランド)ウイダーの商品で応援をしたのが始まりです。北京五輪後にメダル獲得の報告に来てくれたときはこうなるとは思っていませんでしたが、いろいろ話をしていて、練習や人生への彼の姿勢が、これが非常に当社の掲げているビジョン・ミッション、理念に合致しました。
というのは、彼は、自分をずっと育ててきたフェンシングを通じて、子供たちの成長に何か役立つことはないのかとか、子供たちに感動を与えたいとか、夢を与えたいとか、そういう思いを非常に強く持っているんです。その気持ちと、森永製菓の「おいしく たのしく すこやかに」、菓子と感動を提供し続ける企業になろうという理念、未来の地球をしっかり支えていく、世界の子供たちに何か貢献できるような企業になりたいということが結びついて、森永製菓の社員にどうですかということになりました。
4年後のロンドンはもちろんのこと、子供たちの教育や感動・夢を伝えるために太田選手が思っている通りのことを、貫いていけるような環境を森永製菓としても作っていきたい。当然、彼の能力・努力によっていろいろな大会での好成績、これを実績として見極めていきながら、世界の子供たちに夢や感動を与えていってもらえたらいいなと思っています。
そういう環境を作ることは、森永製菓としてお約束することですが、あとはどこまで彼が努力して、そういうものを作り出せるかにかかっているのかなと思います。
今日、あらためて、彼が考えている人生観と森永製菓の掲げるビジョンが一緒になったということが、うちの社員になるということにいたった理由として報告させていただきます。