フィギュアスケート、スケートアメリカ見どころ
ファイナル進出経験者や若手有力選手が激突
そればかりでなく、マイズナーらを抑えて全米チャンピオンとなった長洲未来(米国)、その長洲未来を押さえて世界ジュニアチャンピオンとなったレイチェル・フラット(米国)ら、ジュニア時代から大活躍し、シニアデビューとなる今シーズンの躍進が期待される若手が、二人もエントリーしている。
誰がファイナルに進出してもおかしくない顔ぶれが、6人――プレオリンピックのグランプリシリーズ、初戦から目の離せない展開になってしまった。
中でも注目したいのは、今年5シーズンぶりの4回転ジャンプ成功を目指す日本の安藤美姫。練習での好調ぶりは伝えられているものの、やはり本番、シーズン初戦から4回転を成功させることは、やさしいことではないだろう。しかし彼女の意気込み、練習の充実ぶりを見るに、今シーズンのどこかで必ず、安藤は4回転ジャンプの成功を見せてくれるのではないかと思う。記念すべき5年ぶりの、シニアでの初の成功を見逃さないためにも、安藤美姫にはシーズン通して、ぜひ注目をしたいところだ。
プレ五輪シーズンのスタート
追いかけるのは、昨年世界4位まで昇りつめた日本の中野友加里、元世界チャンピオンのキミー・マイズナー。ともに昨シーズンのファイナリストだが、今年もファイナルに進むためには、この激戦の中で3位までには入っておきたいところ。またバンクーバー五輪のメダリスト候補としてこのふたりが名乗りを上げるために、どんなプレ五輪シーズンを送ろうとしているのか。その動向も見守りたい。
そしてこの大会、フィギュアスケート大国アメリカの希望を背負ってシニアデビューを果たすのが、ともに15歳の長洲未来とレイチェル・フラットだ。
まさに新採点システム世代の二人。ジャンプだけ、表現技術だけではなく、若くしてジャンプ、スピン、スパイラルなど、どれもが欠けることなくパッケージされた力の持主、先輩たちにとっては大きな脅威だ。彼女たちにマイナス面があるとしたら、滑りがジュニアイッシュ=少しばかり子供っぽさが残っていること。金妍兒や安藤らとジャンプで同じことをしても、演技構成点(PCS)で差がついてしまうかもしれない。しかし先輩4人がジャンプで大きなミスをした場合、若さと勢いで完ぺきな演技を見せれば、この二人が表彰台に並ぶ可能性は大きい。若い彼女たちがどれだけのびのびと大舞台を楽しんでくれるか、大きな見どころだ。