M-1 JAPANとの対抗戦は全日本キックが3勝1分け

長谷川亮

対抗戦の大将戦で激突した江口(右)と貴之 【チナスキー】

 全日本キックボクシング連盟「Fighting Base−2」が3日、東京・新宿FACEで開催された。
 今大会では全日本キックvs. M−1 JAPANの4対4マッチが実現。これまでワンロップやカノンスックといった精鋭ムエタイ戦士を送り込んできたウィラサクレック・フェアテックスジムが日本人選手により軍団を結成し(=M−1 JAPAN)、全日本キックに対抗戦を仕掛けてきた。

 対抗戦はいずれも延長、フルラウンドにもつれ込む接戦が続出。メーンまでの3試合で2勝1分と全日本キックが勝ち越しを決めるが、辛くも振り切ったという印象の試合が多く、2勝1分という数字ほど実力の差は感じられなかった。

江口がミドル級王座挑戦権獲得

江口は全日本ミドル級王座挑戦権を獲得 【チナスキー】

 メーンイベントの江口真吾vs.貴之ウィラサクレックの一戦も、貴之がサウスポーから左のフックとストレートを当て先取するが、江口が後半組んでのヒザで盛り返し、延長戦に突入する。
 このまま判定決着かと思われた両者だが、貴之がパンチで攻めてきた、ガードの開いたその合い間を縫って江口は右縦ヒジでズバリ。貴之の左ほほを切り裂いてドクターストップとなり、TKO勝ちを収めた。

 5Rにヒジでカットされ、目もパンチで腫れ上がらせるなど、試合後の江口の顔は苦戦を如実に物語る。

「初めてのメーンと挑戦者決定戦ということもあり、緊張しすぎて硬くなり動けませんでした。よかったのは最後だけです。もっと暴れればよかった。対抗戦というのはやっぱり意識していて、(自分のところまで勝ち越しで来たから)負けたら恥ずかしいと思った。最後のヒジは(貴之が)サウスポーでディフェンスがブロック主体のタイプなので、ブロックの合い間を縫って当ててやろうと練習して狙っていました。今日は組む展開が多かったので、もっと打ち合う技術をつけないと。これじゃ王者になっても試合を組まれない」

 試合後はしきりに反省が口をついた江口だが、これで王者・中村高明の持つミドル級王座への挑戦権を獲得。対する王者・中村は、10.17後楽園大会で江口がTKOで降しているミドル級2位の白虎と対戦し、前哨戦をこなした上で江口とのタイトル防衛戦を迎える。

“激闘系ファイター”がセミに登場

セミの大高(右)vs.長崎はドロー 【チナスキー】

 セミファイルナルではチャゲ&飛鳥の『ボヘミアン』で入場し、毎回リングを血で染める熱闘を繰り広げる“激闘系ファイター”大高一郎が、M−1スーパー・フェザー級王者の長崎秀哉と対戦した。

 長崎は先ごろベルトを奪取した赤十字竜(NJKFスーパー・フェザー級王者)、全日本キックの強打者・岩切博史、シルバーウルフの大宮司進といった選手を降している実力者だが、この試合でもスタミナと手数を武器に大高を切り崩しにかかる。これに大高も正面から応えたため、試合は組み合い・バッティングの場面が多くなり、甲乙つけがたい展開に。意地と気迫を見せ合った両者だが、明確な差をつけるには至らず、50−49、49−50、50−50の3者3様ジャッジで引き分けに終わった。

九島が引き分けを挟んで6連勝

今回勝利した九島(右)は、引き分けを挟んで6連勝 【チナスキー】

 第5試合では全日本フェザー級10位の九島亮が延長戦の末に判定勝利。銀次にパンチで先制されるもローで追い上げ延長へ持ち込み、延長ラウンドではローに加えてハイキックも打ち込み、判定3−0で勝利を収めた。これで九島は引き分けを挟んで6連勝。山本真弘を頂点とする全日本フェザー級戦線で、さらなる上昇が見込めそうだ。

 なお、試合前日のドクターストップで欠場となった林田昌子は通常であれば不戦敗が適用となるが、「林田さんとはリングの上で決着をつけたい」という対戦相手ちはるの要望により、勝敗なしの裁定となった。

 4対4対抗戦は3勝1分と勝ち越しに終わったものの、豊富なスタミナで前へ前へと攻めてくるM−1 JAPAN勢に、全日本キックが苦戦を強いられた印象の強い大会であった。

 その他、大会の全試合結果は以下の通り。

■全日本キックボクシング連盟「Fighting Base−2」
10月3日(金)東京・新宿FACE

<第7試合 全日本vs.M−1 JAPAN大将戦/全日本ミドル級挑戦者決定戦/5R・延長1R>
○江口真吾(AJジム/全日本ミドル級1位)
(延長R0分40秒 TKO)
●貴之ウィラサクレック(ウィラサクレック・フェアテックスジム/全日本ミドル級2位/J−NETWORKミドル級2位)
※本戦判定は49−48、48−49、49−49でドロー

<第6試合 全日本vs.M−1 JAPAN副将戦/59kg契約/5R>
△大高一郎(STRUGGLE/全日本スーパー・フェザー級2位/元MA日本フェザー級王者)
(5R判定1−1)
△長崎秀哉(WSRフェアテックス/M−1スーパー・フェザー級王者)
※50−50、50−49、49−50

<第5試合 全日本vs.M−1 JAPAN中堅戦/フェザー級/サドンデスマッチ3R・延長1R >
○九島 亮(AJジム/全日本フェザー級10位)
(延長判定3−0)
●銀次(WSRフェアテックス)
※本戦判定3者30−30、延長3者10−9

<第4試合 全日本vs.M−1 JAPAN次鋒戦/バンタム級/サドンデスマッチ3R・延長1R >
○水原浩章(光ジム)
(延長判定2−1)
●一戸総太(WSRフェアテックス)
※本戦判定3者30−30、延長10−9、10−9、9−10

<エキジビションマッチ/2分2R>
―Little Tiger June(青春塾)
(エキジビションのため勝敗なし)
―ちはる(WSRフェアテックス)

<第3試合 フェザー級3R>
○森井洋介(藤原ジム)
(3R判定30−27、30−27、30−26)
●上杉隼土(超越塾)

<第2試合 バンタム級3R>
○原岡武志(STRUGGLE)
(3R2分16秒 KO)
●小野寺紘也(DRAGON GYM)

<第1試合 ライト級3R>
●ラベロ・アレモ(ブラジル/峯心会)
(2R1分40秒 KO)
○倉持 厳(超越塾)

<オープニングファイト/バンタム級3R>
●榊 克樹(韓道場)
(3R判定3−0)
○若山立嗣(DRAGON GYM)
※28−30、26−30、26−30
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著者プロフィール

1977年、東京都出身。「ゴング格闘技」編集部を経て2005年よりフリーのライターに。格闘技を中心に取材を行い、同年よりスポーツナビにも執筆を開始。そのほか映画関連やコラムの執筆、ドキュメンタリー映画『琉球シネマパラダイス』(2017)『沖縄工芸パラダイス』(2019)の監督も。

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