湟川、プルボーがウェルター級王座挑戦者決定戦に進出=全日本キック

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延長6Rに及ぶ大接戦を制した湟川(右)が10月17日の全日本ウェルター級王座挑戦者決定戦に進出 【スポーツナビ】

 全日本キックボクシング連盟「Fighting Base−1」が22日、東京・新宿FACEで開催され、メーンとセミファイナルでは全日本ウェルター級王者・山本優弥への挑戦権をかけて争われる挑戦者決定トーナメント準決勝2試合が行われた。試合は同級1位の湟川満正、同級2位のクリストフ・プルボーがそれぞれ勝ち上がり、10月17日後楽園ホール大会の挑戦者決定戦に進出。王者・山本の首を目指し、2カ月後の後楽園でランキング1位と2位が直接対決でぶつかることになった。

延長6R劇勝も湟川は「全然ダメでした」

勝利したものの、試合後の湟川(左)からは反省の言葉 【スポーツナビ】

 「ほんと、すみません」。試合後の湟川から出てきた言葉は反省ばかりだった。試合は5Rで決着がつかず、延長6R目までもつれる大接戦。ローからワンツー、ボディーへのパンチと細かく打ち分けてきた湟川だったが、打たれ強い対戦相手の吉川英明への決定打には至らず、逆に圧力を増す吉川に押されるラウンドもあった。
 延長に入って何かが吹っ切れたか、ゴングと同時に突進した湟川は右ローを“これでもか”と息をつく間も与えないくらいの連打でとうとうダウンを奪取。それまで蓄積したダメージがついに噴出した吉川はこれで立ち上がることができず、大激戦にピリオドが打たれた。
 「自分がやろうと思っていたことが全然できなくて……、ダメでしたね。情けない試合です。アレ(6R目の攻撃)をいつごろやってるんだ、6ラウンド目でするなよという感じです。全然納得いかないですね」
 試合後の控え室で湟川が浮かべた笑いは、会心の笑顔ではなく苦笑い。「マイナス50点です」と超辛口採点を自らにつけるくらい、反省ばかりが目立つ内容だった。一番の反省点は“自分のスタイルを出せなかったこと”。
 「相手に付き合ってしまった。吉川選手が打たれ強いのは分かっていたし、自分のスタイルを貫き通していれば、もっと早い回で倒せたと思います。スカッと勝ちたかったですね」

 反省点は残ったが、挑戦者決定戦進出という最低ラインの結果は残した。10.17後楽園の相手は、同級ランキング2位のプルボー。11戦8勝4KOのハードヒッターだ。ランキングでは湟川が上位でも、決して侮っていい相手ではない。王者・山本へたどり着くために大きな山がもう1つ残っているが、湟川はここでも“自分のスタイル”さえ出せれば、と意を強くする
 「自分のスタイルを出せれば負けないと思っています。それを出せるかどうかですね。デビューしてから20戦以上試合をしていますけど、100パーセント出せたことがないので、そこが課題になると思います。でも、それをやらないとチャンピオンにはなれませんから」
 100パーセントの湟川が出せた時、悲願のベルトがグッと近づくはずだ。

プルボー完全復活の右ひじ一撃!

プルボー(左)が右ひじ一撃でKO勝利 【スポーツナビ】

 一方、セミファイナルで行われたもう1試合の準決勝は、プルボーが右ひじ一撃で対戦相手の金統光を撃沈。こちらは会心の勝利で10月後楽園へ駒を進めた。

 プルボーと金は昨年5月の後楽園大会で対戦し、プルボーが3R・TKOで快勝。その時のリベンジもかけて臨んだ金だったが、プルボーがこれを真正面から跳ね返した形となった。
 試合は静かな立ち上がりとなり、互いに様子を探るような手の出し合い。時間も2分を過ぎ、勝負は第2Rからかと思われた矢先だった。ロープを背負ったプルボーがカウンター気味に強烈な右ひじを一閃! この一撃が金のアゴをまともに打ち抜き、ダウンした金は倒れたまま動けず。あまりにも衝撃なノックアウトで、プルボーが挑戦者決定戦に勝ちあがった。

 デビューから破竹の7連勝をマークしたプルボーだったが、昨年11月の初黒星から3連敗。しかし、この衝撃ノックアウトで連敗をストップし、完全復活をアピールした。

新空手王者2選手が白星デビュー

2008年度新空手軽中量級王者の宮田隼児がデビュー戦をKO勝利 【スポーツナビ】

 また、今大会では2008年度全日本新空手王者の2選手がデビューした。
 第1試合には、軽中量級王者の宮田隼児が出場。1R目は対戦相手である宮坂俊明のパンチをまともに食らう場面もあったが、まったくひるむことなく前進してワンツー、ローと休むことなく攻撃。2Rに入ると、宮坂は宮田の止まることのない攻撃に耐えられずダウン。これで俄然勢いが増した宮田は続け2回目、3回目のダウンを奪い、快勝でデビュー戦を飾り、新空手王者の地力を見せ付けた。

 一方、第3試合に登場したのは重量級王者の木村秀和。こちらも1R目にパンチで2度のダウンを奪う幸先のいい滑り出しだったが、2R中盤からローを集められ失速。最終3Rに入ると、完全にペースは対戦相手の市川公貴のものになり、顔からは鼻血、足を引きずっての終了ゴング。判定は1Rの2度のダウン奪取が利いてジャッジ3者28−27で勝利したものの、ホロ苦デビューとなった。

全日本キックボクシング連盟「Fighting Base−1」

8月22日(金)東京・新宿FACE

<第8試合 全日本ウェルター級挑戦者決定トーナメント・準決勝 5R>
○湟川満正(AJジム/同級1位)
(延長R25秒 KO)
●吉川英明(チームドラゴン/同級5位)

<第7試合 全日本ウェルター級挑戦者決定トーナメント・準決勝 5R>
●金 統光(藤原ジム/同級4位)
(1R2分11秒 KO)
○クリストフ・プルボー(スクランブル渋谷/同級2位)

<第6試合 全日本ライト級ランキング戦/サドンデスマッチ3R(延長1R)>
●上杉武惟(藤原ジム/同級6位)
(延長R判定3−0 9−10、9−10、9−10)
○畑尾龍宏(REX JAPAN/同級10位)

<第5試合 全日本ライト級ランキング戦/サドンデスマッチ3R(延長1R)>
○鈴木真治(藤原ジム/同級7位)
(判定3−0 30−28、30−28、30−28)
●遠藤信玄(スクランブル渋谷)※遠藤智久から改名

<第4試合 フェザー級 3R>
○森井洋介(藤原ジム)
(2R1分49秒 KO)
●不動明王(峯心会)

<第3試合 ヘビー級 3R>
○木村秀和(AJジム/2008年度全日本新空手重量級王者)
(判定3−0 28−27、28−27、28−27)
●市川公貴(WK/チーム・C3BLAIZ)

<第2試合 ライト級 3R>
○武 彦(月心会)
(1R2分35秒 TKO)
●小口健一(峯心会)

<第1試合 ライト級 3R>
○宮田隼児(AJジム/2008年度全日本新空手軽中量級王者)
(2R1分9秒 KO)
●宮坂俊明(峯心会)

<オープニングファイト第3試合 バンタム級 3R>
●榊原裕太(月心会)
(判定0−3 29−30、29−30、28−30)
○寺内直人(SOUL GARAGE)

<オープニングファイト第2試合 ウェルター級 3R>
△小山佑介(STRUGGLE)
(判定1−0 30−28、30−30、30−30)
△岩渕哲也(鷹虎ジム)

<オープニングファイト第1試合 バンタム級 3R>
○TARO(月心会)
(判定3−0 30−27、30−27、30−27)
●KATSUKI(鷹虎ジム)
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