18歳の入江が手にした大きな経験 4年後を目指して
200m背泳ぎ決勝で5位に終わった入江。目指すはロンドンでの表彰台だ 【Photo:YUTAKA/アフロスポーツ】
メダル候補のプレッシャー
実は、私もシドニー五輪の際、試合前に、当時の世界ランキング3位で臨んだ経験があります。しっかりとした国際大会での経験がなかったのですが、一気にメダル候補になり、大きな喜びを感じた反面、大きな戸惑いも感じ取っていました。記録だけが先行し、経験不足の自分を忘れ、自分を見失ってしまいました。五輪は、経験が必要な大舞台です。どれだけ経験を重ねてきたベテランスイマーでも、五輪の魔物に足元を救われてきました。
入江選手は、世界選手権にも出場経験がなく、主な国際大会経験と言えば、パンパシフィック選手権や世界競泳のみ。そんな中で、予選、準決勝、決勝と、五輪の大舞台で、自己ベストタイム更新まではいきませんでしたが、きちんと決勝まで記録を上げることができました。
北島から受けた最高の刺激
日本のエース北島選手は、初出場のシドニー五輪で4位と悔しい思いを経験し、それをモチベーションに偉大なスイマーへと成長していきました。入江選手も初出場で5位入賞ながら、悔しさを感じました。入江選手にとって、この北京五輪は、世界のスタートラインに立つ重要な試合だったと言えます。
「五輪での悔しさは、五輪で晴らす」と語った選手がいます。これから入江選手は、どのように成長し、どんな経験をするのか。うれしいことも、苦しいこともあるでしょう。しかし、どんな経験でも、無駄な経験はありません。たくさんの経験という武器を手にして、4年後、ロンドンで大きく成長した入江選手を見たい――そう心に感じました。入江選手の今後が楽しみです。
<了>
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