オシム「今度は私が『頑張れ』と言う番だ」=イビチャ・オシム氏アドバイザー就任会見
日本サッカーが生き残る道は、走ること
日本のサッカー選手はもっと走る量を増やすべきだと語るオシム氏 【スポーツナビ】
田嶋 まず、代表チームに帯同することに関しては、契約の内容に含まれていません。あと、われわれは今日のオシムさんの話を聞いただけでも、素晴らしいアドバイスになっていると思います。今回、ユーロを見て頂いて、U−18やU−16などいろいろな世代の日本代表チームがヨーロッパに行った時に会う機会があれば、コメントを頂きたいです。あとは、日本ではS級ライセンスを始め、さまざまな指導者養成を行っております。そういう中で、今のような話、オシムさんの経験をぜひ話して頂ければと思っています。オシムさんの健康を第一に考えて、その中の範囲でわれわれはお願いしたいと思っています。
――オシムさんはユーロを観戦する予定と聞いたが、注目している国や選手はあるか?
これまで優勝したことがない新しいチームに優勝してもらいたいです。注目選手は、クリスティアーノ・ロナウド、と言ってほしいんですよね? そうはいきません。ロシアやルーマニアにはサプライズを起こしてほしいと思っています。私に関係しているから言うわけではありませんが、クロアチアもサプライズを起こす可能性はあります。まあ、半分希望もありますが。どうせなら、貧しい国が金持ちの国を倒してほしいです。金で選手が買える国や、勝って当然という国が勝ったらつまらないじゃないですか。また、フランスやイタリアが優勝するようなことがあれば、日本にとって良いこととは言えないと思います。いずれにしろ、高いレベルのサッカーが見られることを希望します。つまり、日本がその高いレベルに追いつこうという目標を持つことが大切です。
――最近のJリーグの印象は?
(Jリーグを)見てはいけませんか? 先ほど言いましたように、病気から復活できたのはサッカーのおかげです。私が何者であるかということを忘れないために、試合を見に行きました。サッカーが原因で病院に行かなくてはいけなくなりましたが、そこから戻るのもサッカーの力でした。ですから、試合を見に行ってもいいじゃないですか。サッカーを見ることが私の生活の復帰の手始めです。
印象については少し前に言いましたよね。私の話を聞いていましたか? 耳に入っていても頭で理解していなくては同じですよ。つまり、走りが足りない。走らなければいいサッカーはできません。それにいい技術がなければ速いサッカーはできません。そこを改善することが、進歩というより、日本サッカーが生き残る道でしょう。まず走ることです。
そこで残念なことは、日本サッカーの中には、上手な選手は少ししか走らなくていいと考える傾向があります。それを直さなければいけません。逆ですよ。テクニックのある選手がたくさん走れば、もっといいサッカーができる、そのように考えてはどうですか? そこから直しましょう。だからといって、そういうサッカーを許している監督を批判していると書かないで下さいね。監督を批判しているのではなく、走らない選手たちを批判しているんです。
生まれてこのかた、撮られた写真の枚数よりも、今日一日で撮られた枚数の方が多いと思います。こんなにたくさんのカメラマンが来るのなら違うネクタイをしてくれば良かったです。イタリアの言葉で「マスコミの沈黙」と言った表現があります。それには2つの意味があります。1つは、選手や関係者にマスコミにはしゃべるなというかん口令を敷くこと。2つ目は、誰にも文句を付けられないぐらい立派な内容と、良い結果を残して、マスコミからの批判を寄せ付けないということ。ですから、私がここで自由にしゃべったことは、日本サッカー協会にとって大きな賭けであったことでしょう。つまり、私は何をしゃべっても大丈夫だということですね。もし、次の記者会見が開かれればですが……。
もう帰っていいですか? どうも皆さん(会見に)来てくださってありがとうございます。こんなにたくさんの方々が来てくれたと言うことは、リハビリをもっと頑張れということだと勝手に解釈します。
<了>