ブッフォン「2年前、成し遂げたことを再現したい」=“すき”を見せないイタリア代表の守護神

イタリア代表の守護神ブッフォンは、2年前のW杯優勝の再現をユーロで狙う 【Photo:なかしまだいすけ/アフロ】

●●“カテナチオ”(かんぬきの意)と称される、世界最強の守備を誇るイタリア代表。その最後の砦こそ、正GKとして君臨するジャンルイジ・ブッフォンである。しかし彼は2006年ワールドカップ(W杯)優勝を成し遂げた後、2年間の雌伏の時を過ごしていた。所属するユベントスが、審判買収などの不正疑惑に伴い2部へ降格。ファン・デル・サール(マンチェスター・U/オランダ代表)、ペトル・チェフ(チェルシー/チェコ代表)といったライバルたちが欧州の舞台で活躍する中、ブッフォンはスポットライトが当たらない場所で戦っていた。そして迎える2008−09シーズン。ユベントスはチャンピオンズリーグ(CL)出場権を取り戻し、その前には“ユーロ(欧州選手権)”という大きな仕事が待ち受けている。

 恵まれた体格と反射神経、強じんなメンタリティーがもたらす安定感を備え、17歳でプロデビューした天才GKも、今年ですでに30歳。今大会の出場国中、最も高い平均年齢となったイタリア代表の中でも、ブッフォンはそのアベレージを少し超えている。過去を振り返れば、20歳で迎えたユーロ2000は大会直前のけがのため、メンバーから落選。満を持して臨んだユーロ2004では、わずか2失点しか許さなかったにもかかわらず、得失点差でグループリーグ敗退を喫した。だが、リベンジの時はやってきた。世界王者の仲間とともに挑む2008年、そのビッグハンドでつかみ取るのは、相手のシュートと優勝トロフィーだ。イタリア代表の守護神が、ユーロへの意気込みを語ってくれた●●

ドイツの地で成し遂げたことを再び

――いよいよユーロ2008が開幕するけれど、君の今大会の目標はどこに定めている?

 ユーロでの僕の目標は、チームとともにできるだけ遠くまで行くことだ。2年前、ドイツの地でイタリアが成し遂げたことを、再現したい。そのためにも、僕らは皆が同じ方向を向いて進まなければならないと思う。

――現在のイタリアの長所と弱点についてはどう考えている?

 イタリアが最も誇るものの一つは、クオリティーの高い偉大な選手をたくさん擁していることだ。と同時に、僕らはグループとしても強い。イタリアの選手たちはファイターぞろいだし、常に勝利を追い求めている。こうした点はイタリアの強みだと思う。
 弱点と言えるのは、僕らが時々、自分たちを過信するところかもしれない。そういう場合は負けることが多いんだ……。格下相手に油断することは禁物だし、常に自分たちが相手より弱い、あるいは同レベルだと考えるべきだろうね。

――トッティのいなくなったイタリアは、かつてのチームとは別ものだろうか?

 そんなことはないよ。15、6人はW杯のメンバーから変わっていないんだから。さまざまな理由で何人かの選手は入れ替わったけれど、チームの根幹は変わっていないと思っている。GK、ディフェンス陣、セントラルMF、そしてアタッカー陣……。ほとんどは一緒だ。

――ユーロのような大会において、歴史はどのくらい重要な意味を持つだろうか? イタリアは輝かしいフットボール史を有しているけれど

 そうだね……。チームの歴史は多くの場面で助けになると思う。W杯やユーロのようなビッグトーナメントでは、過去の勝利によって確信を得ることができるからね。

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著者プロフィール

アルゼンチン出身。1982年より記者として活動を始め、89年にブエノス・アイレス大学社会科学学部を卒業。99年には、バルセロナ大学でスポーツ社会学の博士号を取得した。著作に“El Negocio Del Futbol(フットボールビジネス)”、“Maradona - Rebelde Con Causa(マラドーナ、理由ある反抗)”、“El Deporte de Informar(情報伝達としてのスポーツ)”がある。ワールドカップは86年のメキシコ大会を皮切りに、以後すべての大会を取材。現在は、フリーのジャーナリストとして『スポーツナビ』のほか、独誌『キッカー』、アルゼンチン紙『ジョルナーダ』、デンマークのサッカー専門誌『ティップスブラーデット』、スウェーデン紙『アフトンブラーデット』、マドリーDPA(ドイツ通信社)、日本の『ワールドサッカーダイジェスト』などに寄稿

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