ブッフォン「2年前、成し遂げたことを再現したい」=“すき”を見せないイタリア代表の守護神

今大会もサプライズはあると思う

常に沈着冷静なブッフォン。ユーロの対戦相手についても、客観的に分析している 【Getty Images/AFLO】

――今大会の本命はどこだと思う?

 W杯でもユーロでも同じだけれど、いつでも堅実な国やビッグチームは強いと思う。具体的に言えば、僕らイタリアに加えて、ドイツ、フランス、オランダ、そしてスペインといった国だね。

――では、君自身が好きなチームは?

 僕はチェコがとても好きなんだ。今大会に向けて、選手たちのコンディションは良さそうに見えるね。それからギリシャも気に入っている。彼らは常にコンパクトで、スター選手がいないチームとしてどのように戦うべきかを知っている。

――前回大会で優勝したギリシャのように、今回もダークホースの国がタイトルを獲得する可能性があると思う?

 あると思うね。こうした大会はいつも何らかのサプライズを含んでいるものだ。今回もビッグネームのいない国はいくつかある。例えばスウェーデンやギリシャ、チェコといった国々は、新聞の一面には載らないかもしれない。でも、彼らは高いレベルにあるチームだ。

――今大会、活躍する可能性のある選手は誰だろうか?

 ユーロのような短期決戦では、活躍する選手はたくさん出てくると思う。特にストライカーは、チームが優勝できなかったとしても自らが主役に躍り出たいと考えるものだ。ルカ・トーニ(イタリア)、クリスティアーノ・ロナウド(ポルトガル)、フェルナンド・トーレス(スペイン)、ティエリ・アンリ(フランス)……。こういった選手たちは、大会中も人々の話題に上るだろうね。

――スターダムにのし上がる選手は?

 若手選手のことはよく分からないけれど……。でも、ヨーロッパのチームには、才能溢れる若きスターがたくさんいる。特にスペインやポルトガルは若手に数多くのチャンスがある国だろうね。その中から将来のスター候補が出てくることは十分に考えられる。もちろん、傑出する“何か”を持っていることは必要だけれど。

ルーマニアが決勝トーナメント進出への鍵を握る

――イタリアにとって“いい結果”と呼べるのは、どこまで進んだときだろうか

 イタリアにとって、ベスト4は最低限のノルマだと思っている。もちろん準決勝に進んだら、その先も勝ちたいに決まっている。僕はベスト4になって満足してしまうような人間ではないからね。

――ユーロで対戦を避けたい国はある?

 あくまでも僕個人の意見だけれど……。イタリアは、フィジカルに優れる長身選手が多い国、あるいはチームとして統率が取れている国はあまり得意とは言えない。スウェーデンやギリシャなんかは厄介だと思うね。もし対戦することになったら、十分注意しなければならないだろう。

――グループリーグで一緒になった3カ国については?

 ルーマニアは過小評価されていると思う。世界のフットボール界で認められている才能ある選手が4、5人いるし、もっと評価されていいんじゃないかな。世間で言われているように、ルーマニアがグループCで一番弱いとは思わない。彼らが決勝トーナメント進出への鍵を握るように思えてならないんだ。

 フランスはユーロの予選でも戦っているし、忘れたくても忘れられない相手だよ(笑)。イタリアとフランスの力は拮抗(きっこう)していて、勝敗を分けるのはちょっとしたディテールだ。ピッチの上で起こるささいな出来事が勝者を決定付けると思う。

 オランダはいつでも攻撃的で、いいフットボールをするチームだ。グループリーグで戦う相手としては、一番厄介だと思う。とはいえ、勝ち進むためにはどんなチームだって倒さなければならない。それが手ごわいライバルだとしてもね。初戦のオランダ戦がどのような試合になるかは、後になって分かるだろう。

――世界王者としてのプレッシャーはある?

 いや、むしろ世界チャンピオンであることは心強いよ。常に勝っているということは、勝利がいつでも近くにあるということだからね。そして、奢(おご)ることさえなければ、イタリアはもっと強くなれると信じているんだ。

<了>

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著者プロフィール

アルゼンチン出身。1982年より記者として活動を始め、89年にブエノス・アイレス大学社会科学学部を卒業。99年には、バルセロナ大学でスポーツ社会学の博士号を取得した。著作に“El Negocio Del Futbol(フットボールビジネス)”、“Maradona - Rebelde Con Causa(マラドーナ、理由ある反抗)”、“El Deporte de Informar(情報伝達としてのスポーツ)”がある。ワールドカップは86年のメキシコ大会を皮切りに、以後すべての大会を取材。現在は、フリーのジャーナリストとして『スポーツナビ』のほか、独誌『キッカー』、アルゼンチン紙『ジョルナーダ』、デンマークのサッカー専門誌『ティップスブラーデット』、スウェーデン紙『アフトンブラーデット』、マドリーDPA(ドイツ通信社)、日本の『ワールドサッカーダイジェスト』などに寄稿

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