井上康生が引退会見「柔道人生に悔いなしです」=柔道
引退会見を開いた柔道・井上康生。今後は指導者を目指す 【スポーツナビ】
井上は会見冒頭でまず「柔道人生に悔いなしという気持ちです」と語ると、これからの人生で大きな3つの目標として「これまで同様、みなさんに愛される井上康生でありたい」「家族を幸せにすること」「柔道に恩返しをし、社会に貢献できる人間になりたい」と語った。
今後は指導者を目指し、今年末か来年初めから2年間、柔道指導と語学研修のため欧州へ留学。「強さはもちろん、人間的にも素晴らしい、みなさんに愛される柔道家を育てたい」と抱負を語った。
また、「日本の柔道がどのようにしたら強くなるか考えていきたい」「(指導する)全ての選手に金メダルを取らせてあげたい。何人の選手に取らせる、ということは分かりませんが、1人でも多くの選手が取れるよう、そういう情熱を注いでいきたい。1人でも2人でも100人でも(金メダリストを)作っていきたいです」とも語り、自身の後継者となるべき人材の育成を誓っていた。
会見には井上の恩師であり「現役時代はもちろん、指導者としても一歩でも近づきたい」と語り目標とする山下泰裕・東海大学柔道部部長も出席した。
山下氏は「一つの時代が終わったという感じ。偉大な柔道家であったのはもちろん、技が芸術的に美しかった。あれだけの美しい技を見せてくれる選手は出てこないのでは。お父さんと作り上げた芸術品だと思う。人間的にも我を張ったりすることがなく、“人間って素晴らしいな”と思うことが度々あった。アテネ後、挫折から逃げず立ち上がった経験を指導者として生かしてほしい」と井上をねぎらい、今後を激励。井上は山下氏の言葉に胸に来るものがあったか、上を向き涙をこらえる場面もあった。
けが、結婚、そして引退…現役最終試合は6月8日
3大会連続の五輪出場を目指した今年、かねて交際を続けていたタレントの東原亜希さんと結婚。4月6日の全日本選抜柔道体重別選手権大会(100キロ超級)で、選考レースをリードするライバルの棟田康幸らを下し優勝した。そして逆転での北京出場をかけ最終選考会となる29日の全日本選手権に臨んだが、準々決勝で敗退し、試合後に現役を引退する意向を語っていた。
井上は、6月8日に開催される全日本実業柔道団体対抗大会(神奈川・横浜文化体育館)にALSOKのメンバーとして参加。これが現役最後の試合となる。