3冠達成のアイシン、新たな黄金期到来の予感
桜木封じに成功したトヨタが先に王手
トヨタは渡邉拓馬が「やることは決まっている。相手のインサイドを抑え、走る展開に持っていくこと」と語ったように、桜木ジェイアールを2試合連続で20得点以下に抑える。そして、ディフェンスリバウンドから自慢の速攻を次々と決める、理想的なバスケットボールを披露した。
堅守を取り戻したアイシンが逆転勝利
「レギュラーシーズン中にやってきたディフェンス、オフェンスともにチームで戦うことができた」と柏木真介が試合を振り返ったように、本来の自分たちのバスケットボールを取り戻すことに成功。シリーズを2勝2敗のタイに戻した。
そして迎えた第5戦では、第1Qから両チームとも最後の力をふり絞る熱戦が展開される。だが、前日の勝利で勢いをつかんだアイシンが、前半を終え45対38とリード。さらに第3Qでも突き放し15点のリードを奪う。このまま試合はアイシンの楽勝で終わるかと思われたが、ここからトヨタが猛反撃。新人の岡田優介が連続8得点をあげるなど猛追、試合残り4分55秒には70対71と1点差にまで詰め寄る。しかし、アイシンはその後、ファウルを奪うと確実にフリースローを成功させ、粘るトヨタを振り切って93対79で勝利した。
新生アイシンをけん引する柏木と竹内公
そして優勝の最大の立役者と言えるのが、レギュラーシーズンに続きプレーオフでもMVPを獲得した柏木。堅実なディフェンスに加え、精度の高いアウトサイドシュートを要所で成功させチームを勝利へと導いた。前所属の日立では五十嵐圭の、昨季は佐古賢一の控えを務める場面が多かった柏木だが、今季はシーズン当初から正ポイントガードとして活躍してきた。日本バスケットボール界では髄一といわれる身体能力をもち、安定したボールコントロールと激しいディフェンス、さらに正確な外角シュートで、今回2つのMVPを獲得した柏木は、名実ともに日本一の司令塔になったといえるだろう。
満身創痍のトヨタ、3連覇達成ならず
これでアイシンは、今季開幕前に行われたリーグカップ、年始の天皇杯に続く優勝で3冠を達成。柏木、竹内公と、アウトサイド、インサイドにしっかりとした日本人の核をおいた。さらに、インサイドには日本人に帰化した桜木もいる。来季から外国人がオン・ザ・コート1となるJBLにおいて、ゴール下は桜木、竹内の二枚看板が圧倒的な支配力を持っている。
新リーグ発足の年、アイシンは新たな常勝チームの誕生を大いに予感させる強さをバスケットボールファンに見せてくれた。
<了>
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