連載:ただ、ありがとう「すべての出会いに感謝します」

新井さんが3年目で思い知ったプロの厳しさ 「休むな!」金本さんの言葉と遅かった後悔

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空へ向かって打つ

03年のFA移籍後も金本氏は新井には事あるごとに声をかけ続けた 【写真は共同】

「ポスト江藤」と目された2年目は、特別強化指定選手に指名された。さらなる地獄の始まりだったが、巡り合わせはラッキーと言うしかない。江藤(智)さんがジャイアンツへ移籍せず、そのままカープに残っていたら、今の僕はなかったことだろう。下手だけど、サードとファーストができ、前年に7本のホームランを打ったことで、僕に注目が集まった。前述した通りだ。

 気持ちにも、余裕や自信が少しばかり芽生えた。1年目は不安しかなかったが、大下(剛史)さんにひいきされながら起用され、初ホームランや初ヒットを打つことができた。「レギュラーになれる」自信までは持てなかったが、「レギュラーを獲ってやろう」という前向きな気持ちで練習に励むことができた。

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「空へ向かって打つ」

 僕の代名詞にもなったこの言葉は、2年目の沖縄キャンプに臨むに当たって、メディアに何気なく口にしたものだ。

「大きなホームランを打ちたい」

 入団後の数年間は、そう思っていた。それもフェンスをギリギリ越えるのではなく、特大のホームラン。観ている人が“あんなに飛ばすなんて、すごいな”と思えるアーチを掛けたい気持ちが強かった。そんな思いを込めて冗談ぽく言ったら、周囲に面白がられ、ひんしゅくを買ってしまった。コーチ陣からは「オマエはアホか」と言われ、金本さんにも「頭がおかしいんじゃないか」とたしなめられた。
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