勝負の往路、抜け出すのは青学大か早大か シード権争いも大混戦=箱根駅伝
青学大、早大が目安に挙げる「2分」の差
青山学院大が初優勝を果たした91回大会でゴールテープを切る現主将の安藤悠哉 【写真:アフロスポーツ】
10月の出雲駅伝、11月の全日本大学駅伝を制し、史上4校目の大学駅伝3冠に王手をかけた青山学院大は、同時に今大会の3連覇に挑む。エース区間の“花の2区”には、3年連続で一色恭志(4年)を起用。準エースの田村和希、下田裕太(共に3年)、主将の安藤悠哉(4年)、鈴木塁人(1年)らが、往路、復路合わせて4人まで変更が可能な補欠に回っており、レース当日に投入するとみられる。原晋監督は故障者の存在をにおわせたが、分厚い選手層でどうカバーするか。
全日本大学駅伝で最終区の6キロ地点まで先頭を走り、青山学院大と共に優勝候補に挙がる早稲田大は、1区から武田凛太郎(4年)、永山博基(2年)、平和真、鈴木洋平(共に4年)と主力を惜しみなくつぎ込み、5区には前回区間5位の安井雄一(3年)と、盤石の布陣。補欠には前回9区区間賞の井戸浩貴(4年)らを残しており、復路で3〜4人の変更もありそうだ。
当初、今大会の1区はスローペースになると予想する指揮官も多かったが、東洋大が1区に学生屈指のスピードを誇る服部弾馬(4年)を起用したことで、一転、ハイペースで早い段階から縦長になる可能性が高くなった。
本命の青山学院大としては、往路で早稲田大に大きく遅れを取りたくないはず。1区を当日変更することは濃厚で、田村を1区に入れ、2区の一色で突っ走るか、または1区を1年生の鈴木でつなぎ、2区の一色で先頭争いに浮上するのか、戦略が注目される。青山学院大の不安材料は、神野大地(現・コニカミノルタ)が抜けた5区山上り。今大会は初出場の貞永隆佑(3年)を登録した。4区までに貞永が安心して走れるようなリードを奪うか、5区で先行されても、復路で逆転可能な差で往路を折り返したい。
原監督は、「往路で先頭と2分差以内にいたい」、早稲田大の相楽豊監督は「往路で2分差があれば優勝できる」と、共に「2分」を目安に挙げた。ただ、流れが大切な駅伝では、先頭を走るアドバンテージは大きい。現実的には、1分強の差があれば、往路を制したチームの方が圧倒的に優位だろう。青山学院大の6区には、前回区間2位の小野田勇次(2年)がおり、6区を終えた段階での両校の位置関係がポイントだ。
上位候補は往路勝負の布陣
公開練習で笑顔を見せる東海大の1年生、鬼塚翔太、關颯人、館澤亨次(左から) 【赤坂直人/スポーツナビ】
サプライズは山梨学院大だろう。2区にはドミニク・ニャイロ(2年)が順当に入ったが、1区候補とみられた上田健太(3年)を、父の誠仁監督も順天堂大時代に2度区間賞を獲得した5区に抜擢(ばってき)。補欠には佐藤孝哉、上村純也、秦将吾(以上4年)、河村知樹(3年)ら主力を残した。
いずれのチームも、前半重視の様相だ。往路で青山学院大と早稲田大の一角を崩すような走りを期待したい。
また、強力ルーキーが注目を集める東海大は、1区に鬼塚翔太、2区に關颯人、4区に阪口竜平、5区に館澤亨次と、往路に4人の1年生をエントリー。補欠には、主軸の林竜之介(4年)が控える。鬼塚、關で勢いに乗り、目標の3位以内を達成できるか。
さらには、中央学院大、日本体育大も上位進出を狙う。中央学院大は2、3区に高砂大地、横川巧の1年生コンビを起用。故障のため、出雲駅伝や全日本大学駅伝を離脱していた上級生の主力の復調があれば、8年ぶりの5位以内も見えてくる。
日本体育大は全日本大学駅伝こそ13位にとどまったが、1区の小松巧弥(4年)ら戦力充実。往路を好位置で折り返せば、6区には区間記録を持つ秋山清仁(4年)がいる。学生が主体となって決めたというオーダーは、果たして成功するのか。