勝負の往路、抜け出すのは青学大か早大か シード権争いも大混戦=箱根駅伝

石井安里

連続シードが懸かる順天堂大、帝京大

 10位以内に入った大学には、次回のシード権が与えられる。例年通り、この枠を巡る争いも大混戦だ。
 前回6位のメンバー7人が残った順天堂大は、2区にリオ五輪3000メートル障害代表の塩尻和也(2年)を擁し、序盤で好位置につけたい。塩尻の直後をつなぐ3、4区を重視しており、準エース格の栃木渡(3年)が補欠から投入されそうだ。

 前回10位の帝京大は、補欠に回っている竹下凱(2年)が1区か。2区には内田直斗(4年)を起用、粘り強い選手をそろえた。

大東文化大らはシード奪還狙う

予選会でゴールする大東文化大の主力、原法利 【写真:アフロスポーツ】

 連続シードを狙う2校に対し、予選会突破校からは大東文化大、明治大、神奈川大、拓殖大、国学院大などがシード入りに意欲を燃やす。

 なかでも注目は、予選会トップ通過の大東文化大、12年ぶりのシード権が懸かる神奈川大だ。大東文化大は4区に川澄克弥、5区に奈良修監督の長男・凌介と、主要区間に1年生2人を並べた。絶対的なエースはいないが粒ぞろいで、復路の戦力は予選会突破校では特に充実している。神奈川大は1区に山藤篤司(2年)、2区に10月の予選会で日本人選手トップの鈴木健吾(3年)を起用し、山の2区間にも走力の高い選手を置いた。

 上位校のみならず、各校とも1、2区は強力。予選会をギリギリの10位で通過した日本大は、1区の石川颯真(4年)、2区のパトリック・ワンブィ(2年)で先頭争いに加わりそうだ。2区には留学生が過去最多の4人おり、レース序盤は順位変動が激しくなる。その分、12年ぶりに距離が延びる4区、山上りの5区がポイントになるだろう。5区は2.4キロ短縮されても、重要な区間であることに変わりはない。4区にセルナルド祐慈(4年)のいる創価大、5区に薮下響大(4年)がいる明治大の動向も目が離せない。

 オープン参加のため順位がつかない関東学生連合は、1区の丸山竜也(専修大4年)、2区の堀尾謙介(中央大2年)らで、シード権内相当でのフィニッシュを目指す。急な体調不良や故障がない限り、当日変更はないとみられ、日本薬科大、武蔵野学院大の選手が初めて箱根駅伝の舞台に立つことになりそうだ。

 学生ランナーが熱き思いを込めてタスキをつなぐ2日間は、珠玉の時間となるだろう。

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著者プロフィール

静岡県出身。東洋大学社会学部在学中から、陸上競技専門誌に執筆を始める。卒業後8年間、大学勤務の傍ら陸上競技の執筆活動を続けた後、フリーライターに。中学生から社会人まで各世代の選手の取材、記録・データ関係記事を執筆。著書に『魂の走り』(埼玉新聞社)

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