「羽生超え」目指す宇野昌磨の決意 記録だけでなく、記憶にも残る選手へ

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4回転フリップを国内で初披露

4回転フリップで会場を沸かせた宇野昌磨 【写真:田村翔/アフロスポーツ】

 羽生結弦(ANA)が4回転ループを成功させ、フィギュアスケート界に新たな歴史を刻んだその日、日本では宇野昌磨(中京大)がそれに負けない輝きを放った。

 1日に行われたジャパンオープンで、宇野は4回転フリップを決めるなど198.55点をマーク。非公認ながらフリースケーティング(FS)の自己ベストを更新する圧巻の演技で、日本を大会2連覇に導いた。

 冒頭の4回転フリップ。今年4月に世界で初めて成功させたジャンプだが、国内では初披露とあって、会場内はその瞬間、緊張感が一気に高まった。しかし、宇野はまるで3回転を跳ぶかのように、軽やかにジャンプし、きれいに着氷する。GOE(出来栄え点)も2点がつく実に美しい4回転フリップだった。続く4回転トウループは転倒したものの、基礎点が1.1倍になる後半では、4回転トウループ+2回転トウループのコンビネーションを決めるなど、最後まで集中は途切れなかった。

「(4回転フリップに)不安はあったんですけど、成功することができてすごくうれしいです。トウループはミスしましたが、ちゃんと回っての転倒だったので、今後につながる失敗だと思います。あとは、曲の最後までちゃんとジャンプを跳ぶことができました。昨年のこの大会同様、割と良い演技ができたと思うし、今年も皆さんの足を引っ張らなくて良かったです」

 技術点は109.55点と、この日2位だった世界王者ハビエル・フェルナンデス(スペイン)に約11点の差をつけた(フェルナンデスは98.08点)。もちろんシーズン序盤の1試合だけで判断するのは早計かもしれないが、FSで史上4人目となる200点超え、羽生やフェルナンデスといった世界のトップに並ぶ日は、もはや目前に迫っているように感じられる。

昨シーズンの失敗から学んだ教訓

今季の課題は精神面のコントロール。ジャパンオープンでは高い集中力でプログラムを演じきった 【写真:田村翔/アフロスポーツ】

 そんな宇野が今季の課題にしているのは、試合に臨む精神面のコントロールだ。昨シーズンは、ミスを恐れず果敢に攻めた試合で良い結果を残した。全日本選手権では、演技終盤に予定にはなかった4回転トウループに挑み、周囲の度肝を抜いた(結果は失敗も、羽生に次ぐ2位を守る)。

 その一方、初出場の世界選手権では、気持ちが空回りして7位に終わった。練習ではできていたことが、試合ではできない。攻める姿勢は大事だが、それだけでもいけないことを痛感した。

 今季初戦となった9月のロンバルディア杯では、昨シーズンの反省を生かし、意識を変えた。

「あまり思い詰めず、楽しむことと真剣にやることを両立させるようにしていました。楽しまなければ体も思うように動かない。あとは緊張しないようにするのではなく、良い緊張ができるようにという気持ちの持っていき方を意識しました」

 優勝はしたものの、コンディショニングの問題もあり、演技の出来には満足できなかった。それでも、試合への入り方という点に関しては、手応えを得た。ジャパンオープンでも同様の意識で入り、前述のとおり好結果を残している。

「ただ、どれが正解かは僕も分かっていないんです。だから今季はいろいろ試して、自分に少しでも合う(試合への)気持ちの持っていき方を見つけたいと思っています」

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