ソフトバンクを支える名ワキ役の仕事ぶり 頑張っているのは主軸だけじゃない!

週刊ベースボールONLINE

交流戦最高勝率の戦いをけん引した城所。交流戦の最終戦では自身初の満塁弾を放った 【写真=BBM】

 チームはバランスの上に成り立つもの。主役とワキ役の絶妙な配置が福岡ソフトバンクの強さの根底にある。着々と貯金を築き、3連覇へ視界は良好。チームの戦いを支える陰の立役者たちの働きにスポットを当てる。

プロ13年目の城所が遅咲きのブレーク

 2連覇を成し遂げた昨季以上の勢いで、工藤ホークスがV3への道を突き進んでいる。
 シーズン90勝をマークした2015年と同様のハイペースで白星を重ねている大きな要因の一つが、ワキ役の存在だ。昨年、トリプルスリーを達成した柳田悠岐、日本人右打者最高打率の記録を持つ内川聖一ら豪華な主力陣もさることながら、そのワキを固める選手らがキラリと光る働きぶりで首位快走を支えている。

 前半戦で最も象徴的なシーンと言えるのが、セ・パ交流戦の最終戦(6月19日)。1点リードの5回2死満塁で打席に入った城所龍磨が、3ボール1ストライクから阪神・岩貞祐太の投じた直球を振り抜き、甲子園のライトスタンドへたたき込んだ。プロ13年目、自身初の満塁弾。今季途中から突如大ブレークした男の劇的グランドスラムで、チームは2年連続、12球団最多となる6度目の交流戦最高勝率を決めた。

 この最終戦での満塁弾を含む5本塁打を放ち、交流戦18試合中13試合のスタメン出場で打率4割1分5厘と大暴れした城所は、首位打者だけでなく文句なしのMVPも獲得した。代走、守備固めのスペシャリストとして生きてきた昨季までの12年間で、通算打率は1割6分6厘、1本塁打。昨オフには「戦力外も覚悟していた」と明かすだけに「何よりもビックリしている。出来過ぎなくらい」という遅咲きのブレークは、ホークスファンのみならずプロ野球ファンにも大きな驚きをもたらした。交流戦では大爆発した打撃だけでなく、当初からの武器である足でも12球団3位の6盗塁を稼ぎ、広い守備範囲と強肩で守備でも再三の好プレーを披露。走攻守で、主力をも上回ると言っても過言ではない活躍で、チームの貯金増に貢献した。

指揮官のタクトで続々出てくる伏兵たち

 10年以上も控えに甘んじていた男の突如の大ブレーク。それは12球団NO.1と言える強力打線の中にあっては、普通に考えれば至難の業と言える。だが工藤公康監督の下ではそれが決して難しくないことは、就任1年目の昨季から今季に至るまでの采配を見れば分かる。

 工藤監督は昨季から基本的に強力な中軸を固定して戦う一方で、1、2番と下位打線に関しては打順だけでなく先発メンバーを流動的に組み替えてきた。1、2番の組み合わせだけで見ても、昨季は30通り。秋山幸二前監督が日本一を達成した14年シーズンは、その3分の1の10通りだった。柔軟過ぎるほどのメンバーや打順の組み替えを可能にするのは、過去の実績にとらわれない選手起用。昨季も、それまで出場機会の少なかった川島慶三、明石健志、福田秀平、高谷裕亮らが多くのチャンスをもらい、勝利につながる働きを見せた。それだけに、昨季はわずか1試合の出場に終わり、春季キャンプも2軍スタートだった城所のブレークも、このチームにあっては不思議ではない。

 工藤監督は「チーム内競争」が「チーム力の強化」に直結するという考えを根底に持つだけに、V3を狙う今季の前半戦だけで見ても、城所だけにとどまらず、ワキ役陣の活躍が目を引く。

1/2ページ

著者プロフィール

新着記事

編集部ピックアップ

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント