2年目の変化と成長、そして覚悟――日本ハム・有原航平が目指すエースへの道
防御率4.79から防御率2.22へ
開幕から5連勝を飾るなどプロ2年目にして日本ハムの先発として存在感を発揮している有原 【写真は共同】
迎えた3月27日、開幕3戦目となる千葉ロッテ戦の先発マウンドを任された有原航平は、その膨らんだ期待を結果として示す。初回、先頭の岡田幸文にヒットを許したが、続く高濱卓也を注文通りのセカンドゴロ併殺に打ち取ると、その後もテンポ良く凡打の山を築き、8回98球を投げて6安打無失点の好投で1対0の勝利に貢献。開幕戦を大谷翔平で落とし、“常盤グリーン”の特別ユニフォームで臨んだ2戦目も敗戦。チーム内に漂いかけた嫌なムードを、プロ2年目右腕が見事に吹き飛ばした形となった。
続く登板2戦目、4月3日の福岡ソフトバンク戦でも8回7安打1失点で白星を飾った有原は、同26日の東北楽天戦では8回3安打1失点で3勝目。5月も10日のオリックス戦で8回途中5安打無失点、17日のソフトバンク戦では9回5安打2失点の完投劇で自身開幕5連勝を飾った。
その後2連敗を喫し、6月7日の広島戦でも7回2失点ながら3敗目。8日現在で9試合に登板して5勝3敗・防御率2.22とやや数字は落としたが、昨季の成績(18試合で8勝6敗・防御率4.79)と比べると格段の進歩を遂げていることに疑いの余地はない。
カットボールでゴロアウト増
恵まれた体格と150キロ超のストレートから、“剛腕”のイメージもある有原だが、元々入団時から本人が公言する通り、「打たせて取る」が自身のスタイルだ。その意味ではプロ1年目の昨季は不満の残る内容だった。特に目立ったのが「被本塁打13」。規定投球回未到達の投手で4番目に多い数字だった。ところが今季は、5月17日までの5連勝中、規定投球回到達投手の中でリーグ唯一の被本塁打0をキープした。
いずれにしても、今季のゴロアウト増の要因は、ずばり「カットボール」にある。昨季は左打者の内角を攻めあぐねる場面が目立ち、被打率は右打者の2割6分5厘に対し、左打者は2割9分4厘と苦手にした。そこにメスを入れたのが、4年ぶりに日本ハムに復帰した吉井理人・投手コーチだった。春季キャンプで、左打者の内角へ食い込むカットボールの有効利用を有原に進言。その効果はてきめんで、5月17日のソフトバンク戦では柳田悠岐、中村晃、長谷川勇也といった左打者7人(代打1人を含む)を計20打数2安打に抑えながら、全打者から計27アウト中15個のゴロアウトを奪って完投勝利。ソフトバンク・バンデンハークの連勝記録を14で止めて見せた。