マリー対ガスケ、勝敗分けたサーブ力の差 ジョコビッチは連戦でタフな戦いに

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地元の声援を受けたガスケは、敗れはしたもののマリーに善戦した 【Getty Images】

 一日中曇天に覆われたものの、ようやく雨に解放され、順調に試合を消化した。全仏オープンテニスは現地時間1日、男女の準々決勝2試合ずつと4回戦の残りが行われ、男子では第2シードのアンディ・マリー(イギリス)、昨年優勝のスタン・ワウリンカ(スイス)が一足先にベスト4に名乗りを挙げた。女子では第4シードのガルビネ・ムグルサ(スペイン)が初めて、第21シードのベテラン、サマンサ・ストーサー(オーストラリア)が4年ぶり4度目の準決勝進出を果たした。

 前日から順延になった4回戦では、第1シードのノバク・ジョコビッチ(セルビア)がスペインのクレーコート巧者、ロベルト・バウティスタの粘りをかろうじてかわし、今季クレーコートで優勝2度など好調の若手ドミニク・ティエム(オーストリア)もマルセル・グラノリェルス(スペイン)を振り切り、グランドスラムで初めて8強入りしている。

敗戦も見せ場をつくったガスケ

 マリーが3年連続4度目の4強入りだ。この日の対戦相手、地元のリシャール・ガスケとの戦績はこれまで7勝3敗。このところ5連勝していたとはいえ、今度ばかりは雰囲気が違った。ガスケは4回戦で錦織圭(日清食品)を破って念願だったベスト8進出を果たしたばかり。しかし、パリでのマリー人気は高い。フランス人のアメリー・モレスモーをコーチにつけていたこともあるだろう。

 ただ、この日ばかりは、スタンドもガスケの声援に気合が入った。第1セット、マリーが第2ゲームをブレイクして先行し5−2まで持ち込んでも、ガスケは持ち堪えた。マリーの不安定なサーブを手掛かりに気持ちをつなげながら、第8ゲームから5ゲーム連取して第1セットを奪った。

 これまでのガスケは天才肌らしく、執着が薄く脆さが目立ったが、全仏で2度優勝の実績を誇るコーチ、セルジ・ブルゲラの影響が大きいのだろう、今大会では精神的にタフだ。第2セットもマリーが5−2とリードした第8ゲームから反撃。第9ゲーム以降、すべてデュースにもつれ込むタイトな展開の中、第9ゲームでブレークバックしてイーブンを守り切りタイブレークに持ち込んだ。

 しかし、ここで持ち直したマリーのサーブ力との差が出た。ガスケはセットカウントで追いつかれると、さすがに気持ちが切れ、そこからはマリーの一方的な展開となった。

 初優勝を狙うマリーは1、2回戦でフルセットを強いられ、雨による連戦の疲れも見られたが、4回戦では雨の影響を受けずに勝ち上がりを決めたことで、逆に日程的には楽になった。連覇を狙うワウリンカも同じで、1日置いての2人の対決は、今大会の見逃せない大一番になるだろう。

ジョコビッチは難敵が続く

雨天に悩まされながらも、順調に準々決勝進出を決めたジョコビッチ 【写真:ロイター/アフロ】

 雨で順延された4回戦、生涯グランドスラムの懸かるジョコビッチは、バウティスタに1セットを与えたもののここまでは順調。ただ、準々決勝、準決勝が連戦になり、対戦相手もトマーシュ・ベルディハ(チェコ)、さらにはティエムとダビド・ゴフィン(ドイツ)の勝者と厳しくなってくる。天候もまだまだ不順なだけに、予断を許さない。

 一方の女子は、セリーナ・ウィリアムズ(米国)が強い。この日は14ゲームでサービスエース8本、ウイナー27本と爆発して、強打のエリナ・スビトリナ(ウクライナ)を寄せ付けなかった。このまま決勝まで進みそうな勢いだ。先行しているボトムハーフでは、ベテランのストーサーが安定したプレーで、この日も第1、第2セットとも先行されながら慌てることなく反撃。タイブレークも1−5から逆転してストレート勝ちを収めた。若手の一番星、ムグルサとの対戦が予想される準決勝が楽しみだ。

(文:武田薫)


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全仏オープンテニス

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2016年5月22日(日)〜6月5日(日)
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