加藤凌平が土壇場で見せた真の勝負強さ 団体金へ、日本に加わった大きな武器

平野貴也
アプリ限定

リオ五輪の代表の座をつかんだ加藤

最終種目・鉄棒の演技を完ぺきに終え、ガッツポーズする加藤。この瞬間、リオへの切符をつかんだ 【写真は共同】

 着地が決まった。会場が、どよめいた。ライバルは、驚きながら笑った。

 高さ2.8メートルの鉄棒で「カッシーナ」「コールマン」といった大技を堂々と決め、伸身の新月面宙返りで鮮やかに降り立った男は、右腕でガッツポーズを作った。
 15.500点以上という高得点を出さなければライバルを上回れない状況に追い込まれた加藤凌平(コナミスポーツ)が渾身の演技を見せた。電光掲示板が示した数字は15.600点。すでに演技を終えたライバルの田中佑典(コナミスポーツ)を総合得点でわずか0.100点上回り、暫定首位に立った。
 残る2人は、ゆかやあん馬でミスが目立って後退していた白井健三(日本体育大)と、昨年の世界選手権で個人総合を制してすでにリオデジャネイロ五輪の代表に決まっている内村航平(コナミスポーツ)。田中の得点を超えたことは、内村以外の最上位者に与えられるリオ五輪の日本代表の座を加藤がつかんだことを意味していた。加藤自身が「今までで一番しびれる着地だった」と認めたベストパフォーマンス。限界までかけられたプレッシャーを驚異的な勝負強さで制した。

 体操競技の第55回NHK杯は内村が184.650点で8連覇。加藤が180.100点で2位。惜しくも敗れた田中が180.000点。2位になった加藤がリオ五輪の日本代表に決まった。
  • 前へ
  • 1
  • 2
  • 次へ

1/2ページ

著者プロフィール

1979年生まれ。東京都出身。専修大学卒業後、スポーツ総合サイト「スポーツナビ」の編集記者を経て2008年からフリーライターとなる。主に育成年代のサッカーを取材。2009年からJリーグの大宮アルディージャでオフィシャルライターを務めている。

新着記事

編集部ピックアップ

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント