王座陥落の内山、今後は本人の意思次第 渡辺会長「どんな決断でもサポートする」

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「一夜明けて悔しさがよりこみ上げる」

衝撃の2RKO負けを喫した内山。一夜明け会見には、コメントを残すのみだった 【赤坂直人】

 ジェスレル・コラレスに2RKO負けを喫し、WBA世界スーパーフェザー級王座から陥落した内山高志のいないワタナベジムで行われた28日の一夜明け会見。渡辺均会長をはじめ、ともに3度目の防衛を飾ったWBA世界スーパーフライ級王者・河野公平、WBA世界ライトフライ級王者・田口良一の表情に大きな喜びはなかった。

「内山あってのワタナベジム」と公言する渡辺会長は「河野、田口は一生懸命頑張ってくれた」と言いつつも浮かない顔。インタノン・シッチャモアンに大差判定で圧勝した河野は「勝ったのですけど変な感じです。内山さんあってこその世界戦。内山さんがずっと引っ張ってくれていたのですごいがっくりしています」と声を絞り出した。5度のダウンを奪って11回終了TKO勝ちした田口も、「『(試合後に)おめでとう。ごめんな』と声をかけてもらって自分は言葉を返せなかった。日本でトップの内山さんが敗れてボクサーやファンもショック。ここから自分自身どうなっていくか分からない状況で今も混乱しています」と肩を落とした。

 内山はテレビ局を通じて「今日(の取材)は勘弁してほしい。今後についてはきちんと考えて、あらためて話します。一夜明けて悔しさがよりこみ上げてきている。2人(河野、田口)にはおめでとうと伝えてください」とコメントを残した。

期限を決めずにゆっくりと休養

内山の今後について「本人の意思に任せる」と話すワタナベジム・渡辺会長 【スポーツナビ】

 今後について――。内山自らが進路を決断するまで、しばらくは期限を決めずにゆっくりと休養させる方針だ。渡辺会長が昨晩「今まで頑張ってくれてありがとう。納得できるまで休んでくれ」とメールをすると、内山からは「ありがとうございました。しばらく休みます」と返信が来たという。ここまでの実績を考慮して、「KOによるダメージはないようだが、今後は本人次第。僕からはやってほしいとは言えない。内山の意思に沿う」と渡辺会長は話し、自分から現役続行を勧めることはないと断言した。

 一方、同級世界王座の行方は――。スーパー王座を獲得したコラレスは、正規王者ハビエル・フォルトゥナの統一戦がWBAから指名試合として義務付けられている。そこでコラレスが勝てば、ワタナベジムがオプション(興行権)を持っていて、内山に挑戦権が回ってくる。しかし、フォルトゥナが勝てばオプションは消滅する。もちろん内山の意思次第ではあるし、コラレスとフォルトゥナの結果次第ではあるが、内山の再起戦となれば、早くて大晦日でのコラレスとの再戦が有力となる。

再戦できれば勝てる!?

 10度目の防衛戦までは右拳のケガや左ひじの遊離軟骨除去手術などで苦しんでいた内山だが、昨年の大晦日といい、前日の試合といい、内山のコンディションは何の問題もなかった。だからこそ、渡辺会長は「今回は私の作戦ミス。自分から絶対打ちに行ってはいけなかったのに、1Rに連打をもらった焦りからか自分から打ちに行ってしまった。自分から行くなと、しつこく言うべきだった」と悔やんだ。

 守備的な選手と見られていたコラレスが予想外に先手を取り、1Rから右フックをもらった内山。2Rからやり返してやろうという闘争心に火がついた内山が右を打ちに行ったところに、「何のパンチをもらったか見えなかった」(試合後の内山)という左フックを合わせられて1回目のダウンを奪われた。その後、コラレスに畳み掛けられて3度のダウンを奪われてのKO負けとなった。

「自分から打ちにいっちゃうと、ああいうパンチは見えないんですよ」と振り返った渡辺会長。「負け犬の遠吠えになるけど」と言いつつ、「中盤まで打ちに行かずに我慢できていれば…。そこで勝負したら絶対負けないんだけど…」と再戦できれば勝てるという自信もチラリとのぞかせた。

会長「どんな決断でもサポートする」

 内山陣営は、大晦日で37歳となる年齢がネックになるものの、ここまで蓄積した大きなダメージはなく、モチベーションさえ保てればまだまだやれると見ている。

 現役続行か、引退か―。「どんな決断でも最大限サポートする」とは渡辺会長。具志堅用高さんの日本記録となる世界王座13連続防衛こそ届かなかったが、日本ボクシング史に残る“KOダイナマイト”の決断は果たして――。

敗戦から一夜明けた内山。しばらく休んでから結論を出すという。 【写真:代表撮影】

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