CL準々決勝の4カードを読み解く 幸運を授かったレアルとバイエルン
いよいよ行われるCL準々決勝
CL準々決勝で実現する、バルセロナ対アトレティコ・マドリーの同国対決に注目が集まっている 【Getty Images】
元バルセロナのジャンルカ・ザンブロッタが行った抽選によって実現した4カードのうち、注目度が高いのは最も実力が拮抗(きっこう)したマンチェスター・シティ対パリ・サンジェルマン(PSG)、そしてバルセロナ対アトレティコ・マドリーの同国対決だろう。残るレアル・マドリー対ボルフスブルク、バイエルン・ミュンヘン対ベンフィカの2試合は、もちろん戦ってみなければ分からないとはいえ、共に実力で上回る前者が圧倒的に有利と見られている。
抽選が行われる前の時点では、どのチームも実力的に最も劣るベンフィカかボルフスブルクとの対戦を望んでいた。くしくもその幸運を授かったのは、多くの不安要素を抱えている2チームだった。
パフォーマンスが不安定なレアル・マドリー
レアル・マドリーはジダンが監督に就任して以来、波の激しいパフォーマンスを繰り返してきた 【写真:ロイター/アフロ】
ジネディーヌ・ジダンが監督に就任して以降、レアル・マドリーは素晴らしいプレーを見せたと思ったら、その次の試合でひどい内容を露呈するという具合に、波の激しいパフォーマンスを繰り返している。3月13日に行われたラス・パルマスとのアウェー戦で、2−1と勝利したものの最悪のイメージを残しながら、翌週には強豪セビージャが手も足も出ないほど圧倒的なゴールラッシュを見せる(4−0)など、まったくもってパフォーマンスが安定しないのだ。
ローマとのCL決勝トーナメント1回戦では、スコアこそ2試合合計で4−0と完勝したものの、盤石の勝利と言える内容ではなかった。アウェーのファーストレグで2−0と先勝したことで余裕を得たにもかかわらず、ホームのセカンドレグでは予想を上回る苦戦を強いられ、相手に何度もチャンスを与えていたからだ。
現在のチームはカリム・ベンゼマの復帰により、再びそろった前線のトリデンテ(クリスティアーノ・ロナウド、ギャレス・ベイル、ベンゼマ)、そしてダビド・デ・ヘアを獲得する予定だったフロレンティーノ・ペレス会長に、開幕当初からうれしい驚きを与えてきた偉大なGKケイラー・ナバスによって支えられている。ジダンが中盤の底にカゼミーロを起用し、トニ・クロースには本来の役割である攻撃面にプレーの比重を置かせたことで、攻守のバランスも以前より随分と改善されてきた。
それでもここまでクラブの歴史にふさわしいシーズンを送っているとは言い難く、昨夏に契約したばかりの監督をあっさり解任してしまうようなチームを、CLの優勝候補に挙げる声はほとんど聞こえてこない。
だが、最も手ごわい5チームとの対戦を逃れただけでなく、勝負を決するセカンドレグを地元マドリーで戦えるアドバンテージも得たことで、「ウンデシマ(スペイン語で11冠目の意)」獲得へ希望が出てきたと言える。ペレスの親しい友人であるスペイン人オーナーが率いるボルフスブルクにも、レアル・マドリーにとって危険な存在となり得る選手はいるが、それでも両チームの実力差は明白だ。