全豪圧勝、ジョコビッチの1強時代へ フェデラー超え、ゴールデンスラムも視野
ジョコビッチが6度目V
世界ランキング2位のマリーを圧倒。ジョコビッチの1強時代はまだ始まったばかり 【写真:ロイター/アフロ】
なおマリーの準優勝はこれで通算5度目。これまでのグランドスラムの決勝で1度も勝たずに5度敗れた例はない。
ジョコビッチは「不落の城」に戻っていた。どこを攻めても跳ね返し、ベースライン、サイドラインを目いっぱいに使ったボールコントロールに、マリーは今年もまた翻弄(ほんろう)された。チャンスがなかったわけではない。ジョコビッチのサーブで始まった第1セットの第1ゲーム、マリーがバックハンドのリターンエース、打ち合いからのフォアハンドのウイナーでいきなりブレークポイントを握った。だが、ジョコビッチはすぐさまギアを上げ、サービスエースを貫通させて切り抜けると、その勢いのまま逆に第2、第4ゲームを立て続けにブレークしてあっという間に5−0とリードした。
ジョコビッチは大会途中に不安も見せた。ジル・シモン(フランス)との4回戦はフルセット。昨年のウィンブルドンの4回戦でもケビン・アンダーソン(南アフリカ)とフルセットを戦ったが、今回はアンフォーストエラーを100本計上して冷や汗。しかし、続く錦織戦で修正すると、準決勝までには原型に戻り、ロジャー・フェデラー(スイス)の挑戦を退けた。ショットの選択、コースのメリハリ、強弱の手加減……試合が深まるに従い、これらの感覚に自信がよみがえり、まるでコートの手品師のようにポイントをかき集めていく。ミスがない。
第1セットは10本以上の長いラリーにマリーも互角について行ったのだが、第2セットに入ってから、ジワジワとジョコビッチへと流れは傾いていった。第7ゲームのマリーのサーブ。30−15から12本、16本、10本のラリーをいずれもジョコビッチが制してサービスブレーク。
マリーも必死に食い下がった。次の第8ゲームで打ち勝ってブレークバックすると、第9ゲームも我慢を積み重ね、デュース4度の打ち合いをしのいでサービスキープ。しかし、ここでメンタルをすり減らした。第11ゲーム、40−0から最長36本の長いラリー戦を含めて連続5ポイントを奪われ、第2セットも落とした。
フェデラーの大記録も射程圏内に
5度目の挑戦も悲願達成ならず。意地のプレーを見せたマリーだが、終わってみればストレートで屈した 【写真:ロイター/アフロ】
しかし、ジョコビッチを相手に2セットのハンディはあまりにも重かった。第3セットの最初のゲームをブレークされる。丸2週間の疲労が押し寄せる中、マリーは第6ゲームで24本のラリーを制してブレークバックしタイブレークに持ち込んだが、そこで力尽きた。
「ノバクとの試合はいつも接戦になって、はたからは同じような試合に見えるかもしれないけれど、今日はこれまでよりフォアハンドが良かったし、第3セットにはネットにもかなり出ていけた。でも、今日の2時間50分はきつかった」
自身をオオカミに例えたジョコビッチ。勝利への渇望は全く失われていないようだ 【写真:ロイター/アフロ】
「昨日、面白いたとえ話を聞いたよ。頂上を目指すオオカミはどんどん登っていけるそうだ。頂上に座っているオオカミより飢えているからだ。ぼくはいつまでもリラックスしているつもりはない。少しは休む。でも数日後に、トップにいる自分に倍の仕事を課していくつもりだ」
問題は、まだ準優勝が3度の全仏オープンだ。それを聞かれると、ニヤッと笑った。
「パリへの食欲は十分だ。でも、オオカミはパリにたどり着くまでにいろいろなエサを食べなくちゃいけないんだ。パリはデザートだよ」
ジョコビッチの1強時代になるのだろうか。今年は五輪イヤー、ゴールデンスラム(編注:グランドスラム制覇+五輪金メダル)という夢も残った。
(文:武田薫)
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