日本女子テニス黄金時代の再来へ 今季躍進したクルム伊達の追随者たち

内田暁
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2年で日本人女子3人がツアーV

 2009年9月――あの時、39歳の誕生日を翌日に控えたクルム伊達公子(エステティックTBC)が韓国オープンでつかんだ賜杯は、彼女にとって13年ぶりとなる、通算8つ目のツアータイトルであった。同時に日本人女子としては、07年5月のプラハオープンを制した森上亜希子以来の優勝でもあった。

 このクルム伊達の優勝から約1カ月後、森上はケガなどを理由にコートに別れを告げる。その数週間前には既に、シングルス6勝(ダブルスは38勝)の記録を誇る杉山愛も、34歳にして輝かしいキャリアに終止符を打っていた。

 こうしてこの年、クルム伊達はツアー優勝(シングルス)を持つ、唯一の現役日本人選手となった。

日比野奈緒(写真)らの活躍で日本女子テニス界に明るい兆しが見え始めた 【Getty Images】

 その日々から6年が経ち、現在の女子テニスツアーには、クルム伊達を含めて4人の日本人ツアータイトル保持者が存在する。

 先鞭をつけたのは、かねてより「次代の日本女子テニスのエース」と期待がかかっていた、奈良くるみ(安藤証券)だ。幼少期から国内タイトルを総なめにしてきた早熟の天才は、19歳頃から約2年ほど苦しい時期も経験したが、昨年2月にリオオープンで優勝し、同時にランキングもトップ50入りを果たした。

 そして今年、新たに2人のツアー優勝者が誕生する。10月にタシケントオープンを制した日比野菜緒(フリー)は、キャリア通算2大会目となるツアー本戦出場で、一気に頂点まで駆け上がったシンデレラガール。このタイトルにより、ランキングも一気に100位以内にジャンプアップした。
 さらにもう1人、日比野の優勝からわずか1カ月後に、土居美咲(ミキハウス)がルクセンブルグで頂点に立つ。

 クルム伊達が韓国で頂点に立ってから、次の優勝者が出るまでに要した年月は3年半。しかし奈良が一つの壁を破ってからは、1年8カ月の間に2人の追随者が誕生した。
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著者プロフィール

テニス雑誌『スマッシュ』などのメディアに執筆するフリーライター。2006年頃からグランドスラム等の主要大会の取材を始め、08年デルレイビーチ国際選手権での錦織圭ツアー初優勝にも立ち合う。近著に、錦織圭の幼少期からの足跡を綴ったノンフィクション『錦織圭 リターンゲーム』(学研プラス)や、アスリートの肉体及び精神の動きを神経科学(脳科学)の知見から解説する『勝てる脳、負ける脳 一流アスリートの脳内で起きていること』(集英社)がある。京都在住。

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