U−18日本・坂井大将に宿る責任感 キャプテンとして前回大会の雪辱を誓う

安藤隆人

AFC U−19選手権の予選に参加

AFCU−19選手権予選を戦うU−18日本代表。前回大会の悔しさを知る坂井大将(左)はキャプテンとして今大会に臨んでいる 【安藤隆人】

 責任感。

 ラオスでの坂井大将の発言を聞いていると、彼が相当な責任感を持って、ここに来たことがよく分かる。

 AFC U−19選手権バーレーン2016予選グループJ。来年の本大会進出を懸けて、U−18日本代表はラオスの地で、ラオス、フィリピン、オーストラリアとの戦いに臨んでいる。この2つの大会は、2年後に韓国で開催されるU−20ワールドカップ(W杯)につながっており、今大会はいわゆるアジア1次予選である。

 日本は過去4大会、アジア最終予選となるAFC U−19選手権において、すべて準々決勝で敗退。ベスト4までに与えられるU−20W杯出場を逃し続けている。ミャンマーで行われた前回大会では、準々決勝でU−19北朝鮮代表に1−1からのPK戦の末4−5で敗戦。エース南野拓実(ザルツブルク/オーストリア)を擁しても、届かなかった世界への切符。坂井は北朝鮮戦のピッチで、残酷な結果を味わった。

 大分トリニータの下部組織で育った坂井は、13年にUAEで開催されたU−17W杯に出場すると、ベスト16進出に貢献。その翌年のW杯ブラジル大会では、杉森考起(名古屋グランパス)とともに、サポートメンバーとしてA代表に帯同し、大きな話題を呼んだ。そして、学年的には最大2個上となる選手たちとともにU−19日本代表に選出され、ミャンマーの地で屈辱を味わった。

硬さの目立った初戦のラオス戦

13年にはU−17W杯に出場した坂井。世界で戦う意義を良く理解している 【写真:FAR EAST PRESS/アフロ】

 天国と地獄を味わった彼は、当然のように今回のU−18日本代表にも選出された。今回はキャプテンとして、チームをけん引する立場となった。

「前回は上についていく感じだったけれど、今はもう率先してやっていかないといけない存在であることは分かっています」

 あの屈辱を知る者として、チームの最年長世代として。彼に責任感が芽生えるのは必然のことだった。さらに「世界に出ればすごく大きな経験ができる。それを味わえないのは大きな損失」と、年代別W杯経験者としても、このチームがU−20W杯に出場する意義をよく理解している。

 だからこそ、キャプテンマークを巻いてスタメン出場を果たした初戦のラオス戦、初陣として気持ちが入る一方で、本番の難しさをあらためて痛感することとなった。

 立ち上がりから動きが硬いU−18日本代表は、個々のミスが目立ち、格下のチームを相手に攻めあぐねる時間が続いた。その中でボランチに入った坂井は、その閉塞感を打開しようと、周囲を常に見渡してコーチングをしたり、攻守をつなぐバランサーとして、献身的なプレーを見せた。39分に坂井のパスを受けたFW小川航基(桐光学園)が鮮やかなミドルシュートを決め、62分にMF高木彰人(ガンバ大阪ユース)が追加点を奪い、2−0の勝利こそ収めた。しかし、内容を見ると、最後まで閉塞感のある攻撃が続き、ミスは減らなかった。

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著者プロフィール

1978年2月9日生まれ、岐阜県出身。5年半勤めていた銀行を辞め単身上京してフリーの道へ。高校、大学、Jリーグ、日本代表、海外サッカーと幅広く取材し、これまで取材で訪問した国は35を超える。2013年5月から2014年5月まで週刊少年ジャンプで『蹴ジャン!』を1年連載。2015年12月からNumberWebで『ユース教授のサッカージャーナル』を連載中。他多数媒体に寄稿し、全国の高校、大学で年10回近くの講演活動も行っている。本の著作・共同制作は12作、代表作は『走り続ける才能たち』(実業之日本社)、『15歳』、『そして歩き出す サッカーと白血病と僕の日常』、『ムサシと武蔵』、『ドーハの歓喜』(4作とも徳間書店)。東海学生サッカーリーグ2部の名城大学体育会蹴球部フットボールダイレクター

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