日本代表の対戦相手を戦術から分析 ラグビーW杯プールB展望
「エディージャパン」ことラグビー日本代表は、24年ぶりの白星だけでなく、予選プール(トップリーグと同じ勝ち点制)で上位2チームに入り、初の決勝トーナメント進出(8強)を狙っている。そこでプールBのライバルたちのラグビーを紹介しつつ、日本代表がどのように戦うべきかに触れてみたい。
まずプールBに入った5チームの現在の世界ランキングは下記の通り。
(チーム名、世界ランキング/過去の対戦成績)
南アフリカ代表(3位)/ 今回が初対決
スコットランド代表(10位) /1勝7敗 ※W杯で2敗
サモア代表(12位) /3勝11敗 ※W杯で1敗
日本代表(13位) /−
アメリカ代表(15位) /8勝1分13敗 ※W杯で2敗
プールBでは優勝2回の南アフリカ代表が突出しており、問題なくプールBを突破し準々決勝に進出するだろう。他の4チームは10位〜15位の中に入り、どのチームにもチャンスはあるという状況となっている。ただ、日本代表にとっては、南アフリカ代表と対戦するのは史上初、また他の3チームには負け越しており、W杯では勝利していない。そう考えると、「日本もラグビーで戦える国であることを見せたい」とのエディー・ジョーンズHC(ヘッドコーチ)のコメント通り、南アフリカ代表戦で勢いに乗り、スコットランド代表戦やそれ以降の試合につなげたいところ。
南アフリカ代表戦<9月20日(日)0:45キックオフ>
優勝候補の南アフリカ代表。CTBジャン・デヴィリアス主将を中心に日本代表を迎え撃つ 【写真:ロイター/アフロ】
またFWのセットプレーも世界有数で「スクラム、モールとスローペースに持ち込んでくる」とSH日和佐篤(サントリー)は警戒している。前半の前半は、相手のプレッシャーに耐えつつも、後半、相手が疲れたところで、どこまでペースを上げて、トライに結びつけることができるか、この4年間の「エディージャパン」の試金石となろう。
また相手の攻撃は、FWを全面に押し出してくる「アタックシェイプ」が中心だ。日本代表と似た攻撃のため、守りやすいはずだが、個々のパワーに押されてタックルミスが出るとピンチを迎えてしまうだろう。攻守ともに、どこまで運動量を高めて、相手1人に対して、1人ではなく、2人、3人でプレーできるかが鍵となる。
スコットランド代表戦<9月23日(水)22:30キックオフ>
スコットランド代表はLOジョニー・グレイ(左)、リッチー・グレイ兄弟の活躍に期待が集まっている 【写真:ロイター/アフロ】
イメージはニュージーランドやパナソニックの攻撃をイメージしてもらえばいいだろう。ミッドフィールドでは、SHクレイグ・レイドロー主将を起点としてFWのアタックラインである「9シェイプ」を連続し、両サイドにはBKの選手をあらかじめ配置する「ポッド」を採用している。大きくて決定力のあるWTB陣(登録4選手は平均188センチ、103キロ)がそろっているため、日本代表はFW勝負で負けてしまうと、両サイドでピンチを迎えてしまう。FWにプレッシャーをかけて、相手のリズムでプレーさせないことが大事だ。
相手のディフェンスは、南アフリカ代表ほどではないため、日本の攻撃ができればトライチャンスも生まれると予想する。もちろんスクラム、ラインアウトといったセットプレーも相手は手強いが、この部分で勝つことができれば、日本にもチャンスが出てくるはずだ。