侍U-18代表、初Vへの5つのポイント 求められる適応の早さ

松倉雄太
 第27回WBSC U−18ワールドカップが28日、開幕した。今大会の出場資格は1997年1月1日から1999年12月31日に出生した選手で、野球日本代表「侍ジャパン」U−18代表は今回も高校生だけでメンバーを編成した。夏の選手権大会が終わった直後の8月23日に結団式を行った急造チーム。大谷翔平(現・北海道日本ハム)や藤浪晋太郎(現・阪神)を擁した2012年大会、松井裕樹(現・東北楽天)、森友哉(現・埼玉西武)が名を連ねた13年大会でも達成できなかった悲願の初優勝へ向け、普段の高校野球とは違った、国際試合ならではのポイントを探っていきたい。

悲願の初優勝へ向けて調整する小笠原(右)と高橋純 【写真は共同】

ポイント1:試合時間と審判

 日本の高校野球と国際試合で違うのが試合の所要時間だ。高校野球のように1試合を2時間以内で終えることがほとんどないのが国際大会。TV中継のCMなどの関係もあり、イニング間の時間もタップリと取られる。幸いにも日本代表は26日に行われた大学代表との壮行試合で3時間20分という長い試合時間を経験した。この感覚をぜひともなじませたいところである。

 もう一つは審判。基本的には外国人の審判が日本代表の試合を裁く。言語などの問題も含めて、慣れるのに時間がかかる選手がいるかもしれない。特にバッテリーは細心の注意が必要になってくるであろう。また、対戦国のデータ収集と同様に、審判のクセなどのデータも取っていきたいところだ。「この審判はストライクゾーンにこんな特徴がある」など、事前に知れるだけでも大きなプラスとなるはずだ。

ポイント2:投手起用と試合中の準備

 日本代表の投手は8人。10日間で9試合を戦う日程で投手をどうやり繰りしてくるかに注目だ。27日の記者会見で西谷浩一監督(大阪桐蔭)は、「ゲームの中で先発投手の役割は大きい。ただ、連戦になる。最初からこのゲームに誰をというのは決めていない。まず初戦をしっかりやって、その後でと考えています」と語った。それでもトーナメントの高校野球と違って、勝敗にかかわらず、先々まで試合があることは頭に入れておかなければならない。ある程度のローテーションと役割ははっきりとさせる必要があるように感じる。

 また、前の試合までリリーフばかりでショートイニングしか投げていなかった投手を、大事な所で突然先発に持ってくる国もある。日本代表も、所属するチームではエースという立場の投手ばかりで、こういう起用法をすることも十分に考えられる。

 もう一つ、試合中の準備という点でも高校野球と国際試合に違いがある。それが攻撃中にベンチ前でのキャッチボールができない点だ。エースナンバーの18を背負う高橋純平(県岐阜商)は、最初の練習試合となった24日の近畿大戦後にその点を意識していたことを話した。代表関係者も集合して最初のミーティングでベンチ前キャッチボールができない旨を話したことを明かす。その中で登板中の投手がどんな準備をするかに注目だ。

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著者プロフィール

 1980年12月5日生まれ。小学校時代はリトルリーグでプレーしていたが、中学時代からは野球観戦に没頭。極端な言い方をすれば、野球を観戦するためならば、どこへでも行ってしまう。2004年からスポーツライターとなり、野球雑誌『ホームラン』などに寄稿している。また、2005年からはABCテレビ『速報甲子園への道』のリサーチャーとしても活動中。

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