侍U-18代表、初Vへの5つのポイント 求められる適応の早さ

松倉雄太

ポイント3:ナイトゲームと風

ナイターや木製バット対応など、普段の高校野球と異なるフィールドで力を発揮できるかもポイントとなる 【写真は共同】

 開催国、それにTV中継もあるため、日本の試合は基本的に18時や17時半開始のナイトゲームとなる。高校野球では少ないナイターに、選手がどれだけ適応できるかがカギとなってくるかもしれない。

 18時開始のナイターだった26日の壮行試合では、バッテリーミスがいくつか見受けられ、捕手の郡司裕也(仙台育英)は、「コミュニケーション不足なところが多かった」と原因を話した。捕手のサインの出し方などにナイター用の工夫が必要となってくるだろう。また、ナイターになると選手によっては、視力の面で問題が出てくることがあるかもしれない。声掛けなどにより一層の連携が大事になってくる。

 そしてもう一つ重要なファクターが、日本戦前半の会場となる舞洲ベースボールスタジアムの風だ。27日に同球場で行われた公式練習では、守備練習で風の確認を取り入れていた。大阪大会で何度も舞洲の経験がある西谷監督だからこそのこだわりが見えた練習だった。各国の条件は同じではあるが、早い段階で風の特徴をつかみたいところだ。

ポイント4:木製バット

 日本代表は本格的に世界大会に復帰(2012年)して3大会目。最初の頃より確実に木製バットに適応できる選手が増えており、またそういう選手を選ぶようにもなった。1年生の清宮幸太郎(早稲田実)が、壮行試合で田中正義(創価大)の速い直球を打ち返したことからも、バットに対する心配は少なくなっているのは間違いないと言えるだろう。

 ただ、短期決戦。金属より飛ばない木製バットだと、調子を落とした選手は復調までに時間がかかってしまうことは多々ある。この点には注意が必要だ。

ポイント5:対戦国の情報

 高校野球では普段から相手のデータをしっかりと分析しているからこそ、パフォーマンスが最大限に発揮できる選手が多い。ただ、国際試合では対戦国と選手の情報が少ない。五輪やワールド・ベースボール・クラシック(WBC)のトップチームのように、専門の偵察要員も置かれていない。

 壮行試合の後、大学代表の田中正義が「少ない情報の中でいかに自分たちの力を発揮できるか」と、U−18代表にメッセージを送った。選手にはこの言葉をぜひ生かしてほしい。そして大会中のデータ収集は開催国だからこそやりやすい環境にある。誰がデータ収集部隊として各球場に派遣されるかも注目点の一つと言えるだろう。

 9月6日までの短期決戦。決勝の地、甲子園で日本代表が初の世界一となれるだろうか!

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著者プロフィール

 1980年12月5日生まれ。小学校時代はリトルリーグでプレーしていたが、中学時代からは野球観戦に没頭。極端な言い方をすれば、野球を観戦するためならば、どこへでも行ってしまう。2004年からスポーツライターとなり、野球雑誌『ホームラン』などに寄稿している。また、2005年からはABCテレビ『速報甲子園への道』のリサーチャーとしても活動中。

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