星奈津美「よくここまで来れた」 世界水泳、金メダル会見全文
女子200mバタフライ決勝で星は2分5秒56で優勝。日本の競泳女子選手では大会史上初の金メダルで、来年のリオデジャネイロ五輪の代表権も獲得した 【写真:長田洋平/アフロスポーツ】
準決勝を全体1位で通過し決勝に臨んだ星は、最初の50メートルこそ抑え気味に入り6番手だったが、徐々に追い上げて150メートルを3番手でターン。得意とする終盤に逆転し、頂点に立った。
以下、星の優勝記者会見でのコメント。
「実感するまでに時間がかかっていました」
ゴール直後にガッツポーズをする星 【写真:長田洋平/アフロスポーツ】
――先ほど平井伯昌監督と話をしていたがどんな言葉をかけられたのか? また、星選手からは平井監督にどんな言葉をかけたのか?
(平井)先生には(レース)直後に会いたかったのですが、なかなか会えませんでした。先ほどようやく会うことができて、まずは「良くやった」ということを言ってくださって、先生がちょっと涙目だったので私もまたちょっともらい泣きをしそうになりました。私からはまずは「本当にありがとうございました」という思いを伝えました。
――ゴールしてプールから上がり、しばらくコースをレーン沿いに歩いていた。あのときはどんなことを考え、どんなことが脳裏に浮かんだのか?
(ゴールに)タッチして、順位を確認して優勝できたことを実感するまでに時間がかかっていました。プールを上がって応援してくれているチームメートのみんなが喜んで手を振ってくれていたり、そういう姿を見て、だんだんとうれしさが増してきました。ミックスゾーンで最初のテレビインタビューを受けるときに、寺川綾さんが喜んでいる姿を見たら、そこで一気に涙が出ました。(テレビインタビューが)号泣しながらのインタビューになってしまったんですけれど、その瞬間が一番今までのいろいろなことを思い返す瞬間でした。本当にメダルを取れて良かったなと思いました。
――今大会でアジアの選手が力をつけている印象がある。そういった向上している要因は何が考えられるのか?(ロシア人記者)
3位に入っていた中国の選手(張雨霏)はまだ若いと思います。今回、中国はロンドン五輪で金メダルを獲った焦劉洋選手が出ていない中で、そういう若手の選手が出てきていることは、これからもっと先に力をつけてくると思います。今回の表彰台は、日本人の私と中国の選手と2人乗ることができたのは、少しはアジアとして力をつけていることを見せられたのではないかと思います。
「いろいろな人の顔が浮かびました」
星は前半は抑え気味で泳ぎ150メートルのターンを3番手で折り返すと、そこから一気にスパートをかけて優勝した 【写真:長田洋平/アフロスポーツ】
やはり昨年の手術(バセドー病)を経て、日本代表に戻ってくることすら厳しいと思っていました。その中で平井先生の指導を受けるようになって、力をつける実感がどんどんあってこの試合に臨みました。当初は、メダルを獲りたいという気持ちも強かったのですが、こうして決勝で自分のレースができて、金メダルという最高の結果を出せました。その時の状況を振り返ると「よくここまで来ることができたな」と自分でも思います。そのために、いろいろな人に支えてもらったので、病院の先生もそうですが、いろいろな人の顔が浮かびました。
――平井監督に水泳が速くなる技術はたくさん教わったと思うが、水泳以外の部分で学んだことがあれば教えてほしい。
今回の200メートルのレースが始まってからは、いつものレース前の緊張感とはまた違う緊張感というか、すごくレースを楽しみに思える自分がいました。調子が良かったからこその部分もあると思いますけれど、その部分は平井先生に指導を受けるようになってから、レースに対して自信を持てるだとか、平井先生がついているから大丈夫という信頼感があります。そこは大きく変わったところだと思います。
- 前へ
- 1
- 次へ
1/1ページ