ウルグアイの高さ対策が功を奏したチリ いくつかの不思議な事件も追い風に
今大会スター選手に続く事件
今回のコパ・アメリカは、大会のスター選手にちょっと不思議な事件が重なっている。ブラジルのネイマールはコロンビア戦(0−1)の終了と同時にボールをパブロ・アルメロに蹴り込んでしまい、乱闘騒ぎのきっかけを作ってしまった。ネイマールは4試合の出場停止処分を受けたため、ブラジルが決勝戦に残っても試合に出られないことから、すでに代表チームから離脱している。また、チリのアルトゥロ・ビダルはオフからの帰り道に飲酒運転で事故を起こし、一大スキャンダルとなってしまった。
ネイマールとビダルの件については選手本人に非があるのだが、カバーニに関しては違った。父親の飲酒運転によってオートバイをぶつけられた19歳の青年が亡くなるという、選手本人には過失のないものだったが、それでもカバーニが代表を外れてウルグアイに戻る可能性についてウルグアイ、チリのメディアで取りざたされていた。
結局、カバーニは代表チームの一員としてチリ戦を戦うことを決意したが、今度はチリのセンターバック、ゴンサロ・ハラに挑発を受けてまさかの退場処分を食らうことになってしまった。スコアはまだ0−0だった63分、プレーとは無縁のハーフウェーライン辺りで事件は起こった。ハラは密着マークしていたカバーニのお尻に指を入れた。そんなことをされたら、相手を払いのけようととっさに反応するのが人というもの。カバーニもちょっとハラの顎辺りを払った。すると、ハラは顔面を抑えてピッチの上に倒れこんでしまったのだ。ブラジル人レフェリーのサンドロ・リッチは、カバーニが暴力行為を働いたと判断し、この日2枚目のイエローカードを出して退場させてしまった。
因縁となりそうなハラとウルグアイ
チリはウルグアイの高さ対策が功を奏した。今大会のウルグアイは、パスで相手を崩してゴールを奪うようなチームではなく、セットプレーが武器だった。しかしながら、チリはセンターバックのガリー・メデル(171センチ)、ハラ(178センチ)ですら180センチに届かぬ小兵ぞろい。これでどうやってウルグアイのアトレティコ・マドリーコンビ、ディエゴ・ゴディンとホセ・ヒメネス(共に185センチ)、件のカバーニ(184センチ)を抑えるのか、そこが争点だったが、試合3日前にヘディング練習を徹底して繰り返したという。実際の試合ではメデルの驚異的な跳躍力が光っていた。またクラウディオ・ブラボ(GKですら184センチしかない)の最高到達点でのキャッチングの安定度は素晴らしく、チームの高さ不足(チリのレギュラー陣の平均身長は175センチ)をカモフラージュしていた。
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