これまでもこれからもタックルして起き上がっての連続。嶋田直人は“有終の美”まで駆け抜ける

横浜キヤノンイーグルス 嶋田選手 【©ジャパンラグビーリーグワン】

第10節を終えた時点で5勝5敗と戦績が五分である横浜キヤノンイーグルス(以下、横浜E)は今節、リコーブラックラムズ東京(以下、BR東京)とのホストゲームを戦う。

ディビジョン1の公式戦がなかったバイウィーク期間中の3月7日。イーグルス一筋11年目の“ワンクラブマン”嶋田直人が、今季限りで現役を退くことを表明した。横浜Eからの正式リリースが発表される前の全体ミーティングでのこと。嶋田本人の口から現役引退をチームメートに告げると、普段はイジってくる仲間たちから、「もっと(現役を)やってください」と懇願されたことがうれしかった。

「もうそろそろかな…」と“現役引退”の文字が頭に浮かぶようになったのは、ここ数シーズンのこと。また、昨季が終わると、クラブスタッフからあと2キャップでジャパンラグビー トップリーグ・リーグワン通算100キャップに到達することが告げられた。節目の記録を達成するシーズンが引き際かもしれない。現役引退の決め手について、嶋田があらためて口を開いた。

「通算100キャップという大きな節目が見えた中で、それを取って現役を終えてもいいかもしれないと思いました。イーグルスの生え抜き選手として初めての記録を達成できたこと、また引き際やセカンドキャリアの準備期間も含めて、今季限りにすることを決めました」

【©ジャパンラグビーリーグワン】

シーズン中盤のタイミングで発表した理由は、シーズン終了後の引退表明ではなく、まだホストゲームやプレーオフトーナメントを残している時点で発表することで、「スタジアムまで観に来ていただく機会を増やしたいという思いがある」ため。まずは現役引退発表直後に迎える第11節のBR東京戦に向けて、嶋田は集中力を研ぎ澄ませている。

なお、長らく“事務機ダービー”としてしのぎを削ってきたBR東京は「リコーにだけは負けんな」と植え付けられてきた相手。特別なライバルチームとの対戦を前に、フランカーで先発予定の嶋田は言った。

「タックルして、起き上がって、タックルして、また起き上がって、ブレイクダウンに参加することでチームに貢献したいです」

“現役ラストダンス”を飾る有終の美へ。「国立での優勝」を目指す嶋田から、最後の最後まで目が離せない。

(郡司聡)
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