生きるか死ぬかの戦いを制したコロンビア ネイマール退場のブラジルは課題噴出
たくましく戦ったコロンビア
ベネズエラ相手に初戦を落としてしまったコロンビアにとって、ブラジル戦は生きるか死ぬかの戦いとなった。この大事な一戦にサポーターたちはちょっとしたチャンスやピンチでも総立ちとなり、スタジアムの雰囲気は格闘技を戦うコロシアムと化した。ゴール裏ばかりでなくメインスタンドからも、バックスタンドからも熱い応援を浴びたコロンビアの選手たちは、ベネズエラ戦のふがいなさが信じられないぐらいたくましく戦った。
一方、完全敵地のおりの中に閉じ込められたブラジルは、相手にのまれてしまった。セカンドボールの奪い合いではコロンビアが優勢に立ち、ハメス・ロドリゲスのキラーパスが幾度となく敵の心臓を捉えようとするが、ブラジルは4バックが中央を固めて何とか急所を防ぎ続けた。こんなヒリヒリするような展開が続いた後、コロンビアが36分、セットプレーの混戦からセンターバックのヘイソン・ムリージョが決勝ゴールとなるシュートを決めた。
この貴重なゴールは、拡大解釈をするならば、ラダメル・ファルカオの頑張りが端緒となったものだった。フアン・スニガが投じたスローインをファルカオはいったんロストするが、自らボールを奪い返した。ブラジルはファルカオに対し3人がかりでプレッシャーをかけたが、フレッジが不必要にファウルをしてしまった。このFKからムリージョのゴールが決まったわけである。
ベネズエラ戦での不出来から、ファルカオは母国のアナリストやサポーターたちから相当な批判を受けた。「先発から外せ」という声も少なからずあったという。そんな大きな批判とは裏腹に、試合開始前のメンバー発表でハメスとともに一際大きな声援を受けていたのはファルカオだったし、68分という短い時間でベンチに下がる時にもスタンディングオベーションを受けていた。ブラジル戦でもファルカオはエースの証明を果たせなかったが、チームが大会1勝目を挙げたことでキャプテンとしては肩の荷が少しは降りたのではないか。
ネイマール頼みのブラジル
すでにネイマールは一枚イエローカードをもらっており、試合終了後に退場処分を受けた。しかし、ネイマールを思うと、気の毒な部分もある。今のブラジルは一人ひとりはクラブで存在感を示しているのに、代表チームで戦うとネイマール一人にイマジネーションを頼りきっている。彼が封じられるとゴールの匂いがしない。アディショナルタイムにフィリペ・ルイスのクロスをバイタルエリアで受けたドグラス・コスタが後ろに誰もいないのにスルーしたシーンは、その象徴だろうか。
今回、試合内容ではコロンビアがブラジルを圧倒したが、それでも得点は1対0の僅差だった。これでコパ・アメリカは11試合を消化したが、2点差以上ついたのは開幕戦のチリ対エクアドル戦(2−0)だけ。他は1点差で勝負がついたか、引き分けだ。だからこの夜、息を吹き返したコロンビアも、課題ばかりが残ったブラジルも、次の試合ではどうなるか分からない。ともかく今はコロンビアのサポーターがブラジル戦の勝利を享楽的に祝い、日付が変わってもクラクションやブブゼラを鳴らしながら騒いでいる。
- 前へ
- 1
- 次へ
1/1ページ