錦織圭、“格の差”見せた万全の2回戦 次戦の相手は3戦2勝中のビッグサーバー

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序盤は手こずるも落ち着いて対応

錦織圭が順当に2回戦を突破。クレー巧者を相手に“格の差”を見せつけた 【Getty Images】

 全仏オープンの男子シングルス2回戦で、錦織圭(日清食品)がクレー巧者を冷静に料理してストレート勝ちを収めた。次の3回戦は世界ランキング48位のベンヤミン・ベッカー(ドイツ)と対戦することが決まった。

 この日の対戦相手トマス・ベルッチ(ブラジル)は、前哨戦のジュネーブ・オープンで3年ぶりのツアー優勝を飾って気を良くしているところ。地元ブラジル人記者は「とは言っても、錦織とはぜんぜん格が違う」と控えめな評価だが、かつて全仏で4回戦まで勝ち上がった地力に自信が上乗せされていた。

 第1セット、錦織はブレークポイントをつかむところまでいくのだが、左利き特有の外に逃げるサーブにキックサーブを混ぜるベルッチを、なかなか切り崩せない。第7ゲームは30−0、第9ゲームは40−0としながらしのがれ、第10ゲームまで互いのサービスキープが続いた。ただ、錦織がここで落ち着いてラリー戦に集中したあたりが、ブラジル人記者の言う“格の差”だ。5−5で迎えた第11ゲーム、ダブルフォルトを2つもらって40−30とすると、このセット6度目のブレークポイントで深いリターンからのラリー戦をモノにし、そのままセットを先取した。

 27歳のベルッチは、かねがね技術の高さを評価されながら、メンタル面の脆さが指摘されてきた。第1セットの攻防に弱点の改善が見られたが、錦織とは経験の裏付けが違う。錦織は1回戦からの2日間のオフに会場を離れ「ゆったり過ごした」という。練習は違う場所で軽く1時間ほど。前日には、西岡良仁(ヨネックス)を相手に左対策に備えてきた。よく知った相手とはいえ、ツアーレベルでは初対戦。序盤は探りを入れるショットも出しながらの熟練の仕込みで、余裕を見せた。

心身ともに状態は良好「この先が楽しみ」

3回戦では、サーブを得意とするベッカーと対戦する 【Getty Images】

 第2セットに入ってベルッチが崩れた。第1、第3ゲームで、ダブルフォルトを2本ずつ献上したところを、錦織がすかさず攻め込んで一気に5−1まで持ち込む。これにはベルッチも諦めムードを固めたようだ。終わってみれば2時間22分のストレート勝ち。第1セットの攻防に醸し出された勝負のあやが、世界ランキング5位に定着した錦織の現在を雄弁に物語った。

「これまでの全仏では、故障などタイミングが悪く結果を残せなかったが、今年は、体はどこも悪くなく精神状態もいい。クレーコートに自信もあるし集中できている。2試合ともストレートで勝てたのはうれしい。この先が楽しみだ」

 3回戦の相手ベッカーは、2回戦でフェルナンド・ベルダスコ(スペイン)をファイナルセット、10−8の激戦の末に破ったビッグサーバーだが、錦織は過去3回対戦し2勝している。ドロー運も順調だ。この日のセンターコートは空席が目立ったが、これから徐々に盛り上がってくるだろう。

 このほかの日本勢では、昨年に続いて2回戦に進んだ奈良くるみ(安藤証券)が、ルーシー・サファロバ(チェコ)の左からの強打に対応できずに完敗。第7シードのアナ・イバノビッチ(セルビア)に挑戦した土居美咲(ミキハウス)も、持ち前のショット力で第1セットを奪ったものの、攻めきれず惜しくも敗れた。また、女子ダブルスでは、初めてフランチェスカ・スキアボーネ(イタリア)とペアを組んだクルム伊達公子(エステティックTBC)が逆転で1回戦を突破している。

 海外勢の男子では、第2シードのロジャー・フェデラー(スイス)、第4シードのトマシュ・ベルディヒ(チェコ)、第8シードのスタン・ワウリンカ(スイス)らが順当勝ち。女子では第3シード、シモーナ・ハレップ(ルーマニア)がベテランのミリヤナ・ルチッチ(クロアチア)に敗れる波乱があった。この日は、ファビオ・フォニーニ(イタリア)、エルネスツ・ガルビス(ラトビア)、ドミニク・ティエム(オーストリア)、マルコス・バグダティス(キプロス)、女子のカミラ・ジョルジ(イタリア)らも姿を消した。

(文:武田薫)

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