ドローを先まで見ない錦織 全仏OPテニス・シーンの裏側
全体像を把握? 次の相手に集中?
全仏オープンのドローが22日に行われ、錦織の初戦の相手はポール=アンリ・マチューに決まった 【写真は共同】
錦織圭(日清食品)は、後者のタイプだ。だから彼は、22日の会見で全仏オープンのドローについて聞かれても「見ていない。次の対戦相手のことしか分からない」と言う。
ツアー経験や立場の変遷に伴い、前者から後者へ、あるいは後者から前者へと変わっていく選手もいる。例えば、第3シードのアンディ・マレー(英国)は今大会のドローを隅から隅まで把握していたが、以前は見ない方だったという。だが……とシニカルな笑みを浮かべて、彼は言った。
「会見でドローについて聞かれた時、『見ていない』と答えると結局、君たちが全部教えてくれる。だから、見ても見なくても同じだと気づいたんだよ」
ちなみに日本のメディアは、錦織にドローの全体像を教えることはなかった。だから彼は、今でも次の対戦相手しか知らないのかもしれない。
錦織の初戦の相手は地元フランスのマチュー
ちなみに、両者の過去の対戦成績は1勝1敗。だが錦織が敗れたのは、肘の痛みにあえいでいた09年ブリスベン国際での対戦。逆に勝ったのは、マチューがケガから復帰した直後の12年モンテカルロ・オープン。いずれの戦績も参考にはならないだろう。
偶然にも22日の練習で、錦織はそのマチューと打ち合った。だから「どんなプレーをするかは分かっている」とした上で、「危険な選手だ」と定義する。
「ファーストサーブをしっかり打ってくるし、ストロークも両サイドからフラットで力強くたたいてくる。どちらかというと、荒く攻撃的な選手。少し油断すると流れをもっていかれる可能性はあるので、明日と明後日で作戦は考えていく」
今は初戦のみに目を向けよう
もちろん、上位進出のためには“BIG4”と呼ばれる面々(ロジャー・フェデラー=スイス=、ラファエル・ナダル=スペイン=、ノバック・ジョコビッチ=セルビア=、マレー)を倒さなくてはならないことは、百も承知。“BIG4”と自身の差を、世界5位の錦織は「集中力の差などいろいろあるが、近づいてはきている」と見ている。
今大会で、錦織と対戦の可能性の高い“BIG4”はどの選手で、どのラウンドで当たることになるのか――。
見ている側は、ドローを目で追い、ついそんな予想をしたくなる。だが、世界2位のフェデラーは言う。
「予想が楽しいことは分かるが、特定の選手の先々の対戦について語ることは、他の選手への礼を失することでもある」
先々の対戦については、その時々で語ればいい。今はすべての選手に敬意を表し、初戦のみに目を向けよう。
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