おにぎりの栄養ポイントは?具材別に紹介 管理栄養士おすすめ!コンビニ飯の選び方

田中夕子

【Getty Images】

 いよいよ大型連休のスタート。気候も良く、スポーツや外出には最適な季節の到来です。「今日は天気がいいから外でご飯にしよう」という時、多くの人が選ぶあの食品。そう、おにぎりです。具材も豊富で、さまざまな種類が並ぶコンビニのおにぎり、一体どれを選べばいいの? 値段や好みだけでなく、体にプラスな選び方があるのはご存じですか?

 管理栄養士の川端理香さんに聞く「管理栄養士おすすめ! コンビニ飯の選び方」。シリーズ6回目は「おにぎりの具材別栄養ポイント!」をご紹介します。知るべきポイントさえ押さえれば、次からは迷わない。おにぎりの選び方をマスターして、周りにちょっぴり差をつけてみませんか?

おにぎり“だけ”食の注意点

1)カロリーオーバーや栄養が不足することも

 仕事中や、ちょっとした時間に手軽に食べられるおにぎりは、多くの人たちが手にしやすい食品です。具材も豊富で、栄養も豊富なように思われますが、基本的には炭水化物中心なので、具材選びを間違えるとカロリーオーバーになってしまったり、栄養が足りなくなってしまったりすることも。ただでさえ日本人の食事は炭水化物が多く、おにぎりだけ、パンだけ、麺類だけ、といったように偏った食生活の人も少なくありません。炭水化物を取り過ぎれば体脂肪になり、簡単には燃焼してくれないので注意が必要です。

2)体脂肪が増える!?

 そもそもおにぎり1個でカロリーは200kcal前後。普段から運動している方々であれば、さほど注意する数字ではないかもしれませんが、自転車をこいだり、ジョギングをしたり、軽い運動で消費するのはなかなか大変な値でもあります。
 1日の摂取カロリーで考えると、たとえダイエット中であっても、最低1日1200kcalは摂取しないと体に負担が掛かると言われています。この最低ラインの摂取カロリーも、200kcalのおにぎりを2つずつ、しかも3食ともおにぎりにしてしまうと簡単に到達してしまいます。特にマヨネーズを使用したもののように、カロリーだけでなく脂肪分も高いものを選択すると、脂肪+炭水化物でより体脂肪への変換率が高くなります。手軽に食べられるおにぎりですが、実は危険な面もあるのです。

9種類の具材別 おにぎりの栄養素

 では実際に、コンビニでよく売られている9種類のおにぎりを例に、具材でこんなに違う、栄養ポイントをご紹介します。

1)「梅」……エネルギーをストック ランナーにおすすめ

 ヘルシーに見える梅のおにぎりですが、炭水化物とクエン酸を一緒に摂取すると体にエネルギーがたまりやすくなるので、マラソンなど長距離を走る人にとってはエネルギーをストックしやすくなる食材です。クエン酸に加えて塩分も含まれているので、汗をかくこれからの季節にはおすすめです。ただし、あまり運動量が多くない人は、エネルギーとして蓄積されてしまううえ、やや塩分も強いので取り過ぎには気をつけましょう。

2)「鮭」……抗酸化作用の栄養素が豊富

 良質のタンパク質である鮭。抗酸化作用があるアスタキサンチンを豊富に含んでいるので、現代人が抱えがちなストレスから生じる活性酸素を除去するのに最適な食材です。鮭が大きくなればなるほど、ご飯と焼き魚を食べている状態に近づくので、値段は少し上がるかもしれませんが、具材の大きな鮭が入っているおにぎりのほうが栄養分も豊富に摂取できるのでおすすめです。

3)「ツナマヨネーズ」……ダイエットにはNG、ウエートアップには○

 コンビニで人気のメニューですが、マヨネーズを使用している分、脂質も高い。梅とツナマヨネーズのおにぎりを見比べ、脂質の値を見ればびっくりするはずです。ツナは魚ですが、缶詰にする際にオイルを加えられているので油分も過剰。マヨネーズもご飯やツナがパサつかないようにかなりの量を使っているので、おにぎりとはいえ実は揚げ物を食べているのと同じ。かなりの高カロリー食品ですので、体脂肪を落としたい、ダイエットしたいという人は避け、ウエートアップしたい人が選ぶと良いでしょう。

4)「鶏五目」……野菜が取れて、満腹感も得られる

 赤飯のおにぎり同様、もち米を使用しているだけでなく、具材も豊富なので相当な満腹感が得られます。特に旬の食べ物は栄養価が高いので、季節の野菜が入っている五目ご飯を選ぶといいですね。鶏肉は消化にいいタンパク質が取れるので、運動をする人にとっては心強い食材です。やや味の濃さが気になりますが、野菜も摂取できるし、具材でおかずの要素も得られるのでおすすめです。

5)「昆布」……具材は佃煮 カロリー、塩分は高め

 ミネラルが豊富な昆布ですが、おにぎりの具材に使用されているものは佃煮です。醤油や砂糖で甘く味付けされているので、シンプルなおでんで食べる時のような作用はあまり期待できません。佃煮にしている分、塩分と糖分も高く、想像するほどローカロリーではありません。保存食の佃煮は味付けも濃くつくられていますので、カロリー、塩分、共に気を付けているという方にはあまりおすすめしません。

6)「赤飯」……“腹もち”よし!

 白米ではなくもち米が使われている分、腹もちがいい食材です。運動をした後、お腹がすいてしまうのでつい間食で菓子パンを食べてしまう、という人には噛みごたえもあり、満腹感を得られるはずです。中には「もち米は太るのでは?」と考える人もいますが、白米ともち米はアミノ酸の構造に違いがあることで粘りが生じるだけなので、もち米のほうが太るということはないので安心して下さい。

7)「めんたいこ」……プラス面もマイナス面も……

 塩分が多く、着色料などの添加物が使われていることもあります。名産品として売られている新鮮なものと比べて、おにぎりに使われている「めんたいこ」や「たらこ」はかなり赤色が濃いことも。これは唐辛子の色ではなく着色料です。最近は無添加無着色を前面に打ち出したものも多くありますが、ただ安いから、好きだから、というだけで選ぶのは危険。たらこは必須アミノ酸のBCAAが多いのが利点ではありますが、コレステロールも脂質も高い。自分の体、健康のことを考えるとマイナス面が多いので気をつけましょう。

8)「玄米+わかめ(じゃこ、ひじき等)」……ミネラル補給におすすめ!

 健康志向を狙ってつくられたものだけあり、玄米にはビタミンBなど、不足しがちな栄養素が豊富に含まれています。ミネラルを取りたい人にもおすすめです。具材にもわかめやゴマ、ひじき、じゃこなどミネラル豊富な食材が使われているのでビタミン、ミネラルのサプリメントを取っているのと同様。白米と比べるとやや硬さがあるので、よく噛んで食べることで満腹感も得られます。

9)「納豆巻き」……おすすめNo.1! 良質のタンパク質

 良質の植物性タンパク質が摂取できるうえ、発酵食品なので酵素も豊富。ナンバーワンのおすすめ食材です。植物系乳酸菌も含まれているので腸内環境も整えられ、免疫力アップにつながります。匂いやクセもあり、苦手な人も多いですが、乳酸菌を摂るよりも納豆菌を摂ったほうが腸内環境もよくなると言われていますので、苦手でなければ積極的に選んでほしい食材です。

 仕事が忙しく、これまでは「お昼ご飯は梅と鮭のおにぎりとお茶だけ」で済ませていた人は、おにぎりをどちらか1つにして、ゆで卵やおでんなどのタンパク質が摂取できるおかずをつけ、野菜ジュースをプラスする。ほんの少し工夫するだけで、摂取できる栄養素は大きく変わります。

 手軽に食べられる分、気付けば炭水化物に偏りがちですので、おにぎりだけ、パンだけ、ではなく、おかずや野菜と一緒に食べる習慣づけをしましょう。

川端理香プロフィール

管理栄養士。元日本オリンピック委員会(JOC)強化スタッフ。スポーツ栄養Watsonia代表(http://kawabatarika.com/index.php)。Jリーグチームや選手、プロ野球、ゴルフ、柔道選手などのサポートをし、日本オリンピック委員会強化スタッフとして、全日本男子バレーボールチームなどを担当。トップアスリートからスポーツ愛好家まで、スポーツをする人の競技力アップのためのサポートに務めている。著書に『スポーツ選手の完全食事メニュー』『10代スポーツ選手の栄養と食事』『子供の身長を伸ばす栄養と食事』 など
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著者プロフィール

神奈川県生まれ。神奈川新聞運動部でのアルバイトを経て、『月刊トレーニングジャーナル』編集部勤務。2004年にフリーとなり、バレーボール、水泳、フェンシング、レスリングなど五輪競技を取材。共著に『海と、がれきと、ボールと、絆』(講談社)。『SAORI』(日本文化出版)、『夢を泳ぐ』(徳間書店)、『絆があれば何度でもやり直せる』(カンゼン)など、女子アスリートの著書や、前橋育英高校野球部・荒井直樹監督の『当たり前の積み重ねが本物になる』では構成を担当

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