お酒と一緒に何食べる?二日酔い予防法 管理栄養士おすすめ!コンビニ飯の選び方

田中夕子

【Getty Images】

 梅の花に続いて桃の花も美しく咲き始めた3月。いよいよ、あと半月もすれば桜も開花し、本格的なお花見シーズンの到来です。
 花より団子、ならぬ、花よりお酒、のアナタ。お酒のおつまみはどんなふうに選んでいますか? 実はおつまみの選び方で、翌日の二日酔い防止につながることをご存知ですか?

 管理栄養士の川端理香さんに聞く「管理栄養士おすすめ!コンビニ飯の選び方」。シリーズ3回目は「二日酔いを防ぐための、コンビニ飯の賢い活用方法」をご紹介します。翌日の体を考えて、体にダメージを残さないためにおすすめのおつまみは?

「肝臓」について知っておこう

1)お酒だけじゃない スポーツでも肝臓に負荷が

 お酒を飲む方なら、一度は「二日酔い」に苦しんだ経験があるのではないでしょうか。頭が痛くて、吐き気がする。運動どころか仕事にならない。耳の痛い人もいるのでは?
 ではなぜ、お酒を飲んで二日酔いになるのか。

 アルコールを分解、代謝するのは肝臓です。肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれるように、酷使して疲労がたまっていてもなかなか表面に症状が出てくることはありません。アルコールの代謝だけでなく、食べ過ぎや飲み過ぎ、睡眠不足や過度な運動は肝臓に負荷をかけるものなので、実は運動をしている人は普段から肝臓を酷使しています。

2)「疲れが抜けない」原因は肝臓かも?

 肝臓が酷使されるとどうなるか。体全体に疲労が蓄積し、普段から「疲れが抜けない」とか脱力感を感じることがあります。また、血液検査の結果から、タンパク質を分解する酵素であるγ―GOTの値が高いと肉ばなれなどのケガを起こしやすいというデータもあります。

 お酒を飲む人の中には「走って汗をかいた後のビール」が何よりの楽しみだという方も少なくないと思いますが、そんな人こそ、要注意。実は誰よりも、普段から肝臓には気を配らなければならないのです。

3)やっぱり大事「休肝日」

 肝臓の代謝を高め、健康な状態をキープするためには、大量のアルコール摂取は厳禁。たとえ少しでもアルコールが体内に入れば、分解して体外にアルコールを排出するために、肝臓は活発に動き出します。それでも分解しきれず、翌日にアルコールを残すほどの酒量を一度に入れてしまうと、当然アルコールも体に残ったままで「二日酔い」になってしまうのです。 「休肝日」と言うように、毎日お酒を飲む人も、せめて週に一度はお酒を抜いて、肝臓を休ませることをおすすめします。

4)ダメージ軽減! 肝臓を元気にする栄養素

 普段から、肝臓を元気にさせる要素を含む栄養素を食事で摂取することも大切です。オススメは、さまざまなドリンクやサプリメントでも売られているウコンや、しじみやあさりなどの貝類やカニに含まれる「オルニチン」や「グルタミン」というアミノ酸を含む食材です。お酒を飲む時にも、これらの栄養素を含む食材をおつまみとして食べれば、肝臓は稼働しながらも栄養分も与えられているので、残るダメージも軽減されると考えられます。

家でできる「二日酔い」防止方法

1)牛乳、ヨーグルト、果汁100%ジュース!

 では実際に、家でコンビニのおつまみと共にお酒を楽しむ時にはどんなことをポイントにすればいいのか。

 まず心掛けてほしいのは、空腹でいきなりアルコールを摂取しないこと。お腹が空いた状態でアルコールを入れると、胃と腸にダイレクトに吸収されるため、悪酔いにつながります。脂肪分で胃や腸に膜をつくるのでアルコールの吸収が緩和される牛乳やヨーグルト、さらにアルコールを摂取した時の肝臓の代謝力を高めてくれるクエン酸を含む果汁100%のジュースを飲んでからお酒を飲むように心掛けてみて下さい。

2)ほたて、あさり、しじみ! 缶詰や乾物でOK

 おつまみとしてオススメなのは、貝類。ほたてやあさり、しじみなどの缶詰や、乾燥させて手軽に食べられるおつまみも多く売られています。

 同様に、肝臓を元気にする「タウリン」を含むイカを焼いたお惣菜や、さきいかやするめといったおつまみの類も手軽に摂取できるお助け食材です。枝豆やトウモロコシは「グルタミン」を含む食材なので、カロリーが気になる、という方にはコーンサラダや豆類のサラダもオススメです。

「ちょっと工夫、ちょっとやめる」で体は変化

1)アルコールで太る……はほとんどない

 太ることを気にして「お酒を飲む時は食べない」という人もいますが、先述の通り、空腹でお酒を飲むと肝臓だけでなく胃や腸にも負担が加わるので、食べずに飲むのはあまりオススメできません。アルコールで太る、ということは実際にはほとんどなく、体重増加を招くのは揚げ物に代表される、脂肪分やカロリーが高いおつまみが原因です。


 鶏の唐揚げやコロッケをおつまみに1杯、という人は、唐揚げではなくてグリルのチキンや焼き魚や焼きイカなど、魚介類に代えるだけで体重も、翌日の体も変化するはずです。

2)「締めのラーメン」を食べるということは……

 お酒を飲むことで一時的に下がった血糖値を高めるために「お酒の後はラーメンを食べると二日酔いにならない!」と自信を持って推進する方もいるようですが、残念ながら血糖値を上げるためにラーメン1杯のカロリー、量は必要ありません。

 ダイエットの大敵は脂肪と炭水化物を一緒に摂取することなので、脂肪分を多く含む炭水化物であるラーメンはまさにその代表格。飲んだ後にまた食べるということで胃や腸、肝臓も酷使します。「お酒の締めはラーメンで」という方は、その習慣をやめるだけでダイエットできるチャンスです。

 お酒のつまみも同じです。いくら貝類や魚類、豆類がいいからと言っても、食べ過ぎはダメ。食べ過ぎ、飲み過ぎ生活をリセットして、何事もほどほどに、を心掛けましょう。

川端理香プロフィール

管理栄養士。元日本オリンピック委員会(JOC)強化スタッフ。スポーツ栄養Watsonia代表(http://kawabatarika.com/index.php)。Jリーグチームや選手、プロ野球、ゴルフ、柔道選手などのサポートをし、日本オリンピック委員会強化スタッフとして、全日本男子バレーボールチームなどを担当。トップアスリートからスポーツ愛好家まで、スポーツをする人の競技力アップのためのサポートに務めている。著書に『スポーツ選手の完全食事メニュー』『10代スポーツ選手の栄養と食事』『子供の身長を伸ばす栄養と食事』 など
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著者プロフィール

神奈川県生まれ。神奈川新聞運動部でのアルバイトを経て、『月刊トレーニングジャーナル』編集部勤務。2004年にフリーとなり、バレーボール、水泳、フェンシング、レスリングなど五輪競技を取材。共著に『海と、がれきと、ボールと、絆』(講談社)。『SAORI』(日本文化出版)、『夢を泳ぐ』(徳間書店)、『絆があれば何度でもやり直せる』(カンゼン)など、女子アスリートの著書や、前橋育英高校野球部・荒井直樹監督の『当たり前の積み重ねが本物になる』では構成を担当

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