優勝するために開幕ダッシュは必要か? グラフィックレポートで検証
4月1位で優勝確率「23%」、Aクラスは「91%」
【ベースボール・タイムズ】
この優勝確率「23%」をどう見るか。試合数と比較すると若干重要だという程度。だが、これを「優勝」ではなく「Aクラス」に幅を広げると、開幕ダッシュの有効性が一気に上昇する。4月首位チームは、「91%」の確率で、シーズン3位以上で終えているのだ。
さらにBクラスで終えたのは2チーム(06年巨人、11年広島)のみで、最下位チームは過去10年なし。開幕1カ月の戦いが、その後の戦いに大きな影響を与えていることは間違いない。
4月最下位からの逆転Vは至難の業
【ベースボール・タイムズ】
唯一、逆転Vを成し遂げた13年の楽天も、4月終了時点で最下位とはいえ同率5位(11勝14敗、首位と6ゲーム差)と“開幕ダッシュ失敗”との感覚は薄かった。そして4月を最下位で終えた21チーム中9チームが、そのまま6位でシーズン終了。その確率は「43%」に上る。極端な出遅れは禁物。開幕ダッシュは、成功よりも失敗したときの方が大きなダメージを受ける。
“先行”のソフトバンク、“自在”の日本ハム
【ベースボール・タイムズ】
同じく過去10年でシーズン1位4回の日本ハムは、4月Aクラスが6回(1位2回)。優勝4回の内訳は、12年「4月1位→優勝」、09年「4月2位→優勝」の“先行逃げ切り”の一方、06、07年はともに「4位→優勝」の“追い込み”での逆転Vにも成功している。
一方、千葉ロッテは過去10年で4月Aクラス7回(1位2回)も、シーズン終了時はAクラス4回、1位は0回と急下降している。西武は4月Aクラス5回(1位3回)から、シーズン終了Aクラスは7回(優勝1回)と5月以降に巻き返す傾向が強い。
“安定”の巨人&中日、“ブレーキ”の4チーム
【ベースボール・タイムズ】
過去10年でAクラス8回(優勝3回)を誇る中日は、4月Aクラス6回(1位2回)で、優勝3回の内訳は、06年「4月2位→優勝」、10年「4月3位→優勝」、11年「4月4位→優勝」。4月1位の2回(05、12年)はともに優勝を逃しているだけに、先頭に立つよりも好位置につけてからの“差し”が得意のパターンだ。
この2チームの陰で、他の4チームは5月以降のブレーキが目立つ。特に広島は4月1位が2回あるが、11年「4月1位→最終5位」、14年「4月1位→最終3位」と“逃げ切り”に失敗している。
広島、オリックスの逆転Vの可能性は!?
そして「4月最下位からの逆転V」の事例としては、88年の中日がある。4月を5勝11敗の最下位で終え、その時点で首位と8ゲーム差をつけられたが、5月以降に快進撃を見せて最終的には2位・巨人に12ゲーム差をつけてみせた。だがそれ以降、4月最下位からの優勝は、“神の子”田中将大(現・ヤンキース)を擁した前述の13年楽天まで成し遂げられなかった。
翻って今季、前評判の高かった広島、オリックスが下位に低迷中。データ的には厳しいが、決して逆転Vが不可能というわけではない。むしろ、この逆境を乗り越えて過去のデータを覆したとき、「奇跡の○○」や「○○ドラマ」といった修飾語とともに、ファンの心に強く刻まれることになる。さて、この2チームに、底力はあるか。
(文:三和直樹、グラフィックデザイン:山崎理美)
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