際立つ高木勇人、調整続く有原と安楽 開幕1カ月、新人選手たちの通信簿

ベースボール・タイムズ

2軍調整が続く有原と安楽

26日に7回1失点で今季4勝目を挙げ、新人の中で際立った活躍を見せる巨人・高木勇 【写真は共同】

 2015春――、多くの社会人と同様、昨年よりも14人多い選ばれし103人の男たちが、プロ野球選手としての新生活をスタートさせた。3月27日のシーズン開幕から約1カ月、昨年10月23日のドラフト会議からは約半年が過ぎた今、その“フレッシュマン”たちの現状、活躍度を振り返ってみたい。

 昨年のドラフト会議。「10・23」で最も注目を集めたのは、北海道日本ハムの有原航平(早稲田大)、東北楽天・安楽智大(済美高)の2人の大型右腕だった。

 4球団から指名を受けた有原は、大学時代から抱える右肘痛の不安もあり、注目度とは相反するスロースタートとなった。春季キャンプでも1軍の騒がしさから離れて、2軍でのマイペース調整を続けた。だが、3月22日のイースタンリーグ・埼玉西武戦(鎌ケ谷)での初実戦登板を1回無失点に抑えてからは順調にステップアップ。

 4月21日のイースタン・巨人戦(鎌ケ谷)ではプロ最長の6回を3安打2失点(自責1)に抑えるなど、ここまでフューチャーズ戦を含めた4試合で、15イニングを8安打4失点(自責3)の防御率1.80。まだ才能のすべてを見せているわけではないが、13奪三振はさすが。交流戦終盤の6月上旬での1軍デビューが取り沙汰されている。

 高校ナンバー1右腕・安楽も、スロー調整を余儀なくされた。1軍スタートとなった春季キャンプでの“新人王宣言”もつかの間、ブルペンの乱調で2軍行き指令。本人はやる気十分も、周囲から「高校時代の疲労がある」とブレーキをかけられると、3月17日の練習中に右足首を捻挫し、実戦復帰まで4〜6週間と診断された。

 それでも、4月中旬からは通常メニューをこなしてブルペンでの投球も再開させており、5月中に実戦復帰する可能性も。1軍デビューに関して、大久保博元監督は「今年は100パーセントない」と明言済みだが、安樂は「新人王という目標は変えない」と強気な姿勢を崩さない。今後の強烈アピールで、指揮官の心変わりを待つことになる。

早くも4勝、堂々たる成績の高木勇人

 2人の大型右腕が不在の中、開幕から最も脚光を浴びているルーキーが、巨人にドラフト3位で入団した“隠し玉”高木勇人(三菱重工名古屋)だ。

 オープン戦で好結果を残して開幕3戦目、3月29日の横浜DeNA戦(東京ドーム)で先発投手の座を手に入れると、6回を6安打2失点に抑えてプロ初登板で見事な初勝利。さらに、続く4月5日の阪神戦(東京ドーム)では、9回を2安打無失点に抑える快投劇を演じてプロ初完封をマークした。高校卒業後に社会人に7年間在籍し、5度のドラフト指名漏れを経験したという遅咲きの苦労人だが、物怖じしないマウンド度胸と「高木ボール」と命名された決め球を駆使し、ここまで5試合に登板して4勝0敗、防御率1.50という堂々たる成績を残している。

 これに続くのが、横浜DeNAの山崎康晃(亜細亜大)と巨人の戸根千明(日本大)の2人だ。ドラフト1位入団の山崎は、昨季21セーブの三上朋也が離脱したチーム事情もあって新守護神に就任。ここまで11試合で防御率3.97。痛打される試合もあったが、6セーブと結果を残している。一方、ドラフト2位入団の戸根は、中継ぎ左腕として8試合に登板して防御率1.04。強気かつパワフルなピッチングで早くも自らの地位を確立した。

 そのほか、阪神・石崎剛(新日鉄住金鹿島)、オリックス・山崎福也(明治大)、高木伴(NTT東日本)、日本ハム・瀬川隼郎(室蘭シャークス)、楽天・入野貴大(四国アイランドリーグ・徳島)、中日・浜田智博(九州産業大)、金子丈(大阪商業大)が1軍デビュー済み。だが、4月26日現在でプロ初勝利の味を知るルーキーは、高木勇人だけだ。

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著者プロフィール

プロ野球の”いま”を伝える野球専門誌。年4回『季刊ベースボール・タイムズ』を発行し、現在は『vol.41 2019冬号』が絶賛発売中。毎年2月に増刊号として発行される選手名鑑『プロ野球プレイヤーズファイル』も好評。今年もさらにスケールアップした内容で発行を予定している。

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