今年１月に野球日本代表「侍ジャパン」に関する事業を担うＮＰＢエンタープライズ社長執行役員に就任した今村司氏。前編では、事業会社が設立してから行った日米野球と欧州代表戦を振り返ってもらい、侍ジャパンの現状と課題を分析してもらった。後編では、今村氏が侍ジャパンで実現しようとしていることを、事業会社の経営方針などと合わせて語ってもらった。

――今村社長は就任の際、「野球のコンテンツ価値を上げたい」とコメントされていましたが、そのために、今後取り組まなければいけないことは何でしょうか？

　われわれは、事業会社ですから、何をしたらお客様にお金を払っていただけるのか、というのを考えていかないといけない。何を見たら熱狂し、何をすれば対価を支払うのか、それを追求していかなければなりません。大変な部分・事情もありますが、これは社員に言い続けていきたいですね。今回の欧州代表戦に関して言えば、視聴率も観客動員数も、イベンターとしては屈辱的なことと受け止めています。

――就任されて３カ月が経ちましたが、ここまでで一番の収穫は何でしょうか？

　選手たちが、そして社員たちが侍ジャパンに対してモチベーションを高く持ってくれていることですね。今回もチームのローテーションの関係で、やむなくメンバーから外れた選手がいましたが、彼らの言葉から「侍ジャパンに行くつもりでいました」などの言葉が出たのはうれしかった。侍ジャパンの招集は現在、３月と１１月しかありませんが、選手たちの中に、年間を通じて、「俺は侍ジャパンのメンバーだ」という気持ちになっていてくれているというのは大変うれしいことです。今年は１１月にプレミア１２がある。そして、２０２０年東京五輪の追加種目の申請が９月にも発表され、そして野球が正式種目に採用となれば、ますます選手のモチベーションは上がると思います。秋は「最強チームで臨む」と小久保（裕紀）監督も明言しているので、今からワクワクしています。

――トップチームだけでなく、アンダー世代もテレビなどで侍ジャパンのユニホームで出演することが増えたように思われます。

　とても良いことだと思います。全世代が同じユニホームを着用すること、当たり前のようですが、野球界では画期的なことです。日本はＷＢＳＣ（世界野球ソフトボール連盟）の世界ランキングで１位です。これは日本野球がアンダー世代からトップまですべて世界のトップで戦っているからなんです。プレミア１２は“野球国力”で出場を争い、トップチームが戦う大会。今年は８月にＵ‐１８ワールドカップも日本で開催されます。「全世代侍ジャパン」がアピールできる重要な年になると思いますね。

――トップチームの小久保監督も、積極的に露出をされていますね。

　視聴率が低い、スタジアムが満員にならないということが当たり前になってはいけません。小久保監督は非常に情熱をもってやってくれていますし、危機感を持ってやっていただいている。少しでもファンを増やそう、野球を見てほしいと思っていますので、素晴らしいと思います。