野球にも国際化の波、五輪復帰へPR 国力No.1決めるプレミア12を初開催
野球の国力を反映するプレミア12
WBSCフラッカーリ会長(右端)や熊崎コミッショナー(中央)、小久保監督(左から2人目)らが出席して行われたプレミア12の会見 【スポーツナビ】
世界野球ソフトボール連盟(WBSC)のリカルド・フラッカーリ会長が19日、都内のホテルで会見し、日本や米国など野球の世界ランキング上位12の国と地域が頂点を争う「WBSCプレミア12」の開催概要を発表した。
プレミア12は4年に一度、MLBが主催するワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の中間年に開催。トップカテゴリーだけでなく、社会人や21U(21歳以下)、18U、15U、12Uの各世代の国際試合の結果をポイント換算した「WBSC野球ランキング」上位12の国と地域による大会で、いわば「野球の国力を反映する大会」(フラッカーリ会長)となる。
参加国は2011年以降に行われた各カテゴリーの大会結果によって、昨年11月26日現在1位の日本をはじめ、米国、キューバ、台湾、オランダ、ドミニカ共和国、カナダ、韓国、プエルトリコ、ベネズエラ、イタリア、メキシコの12チーム。アジアや中南米といった野球先進国だけでなく、野球後進国である欧州のオランダやイタリアも参加する。20年東京五輪での野球競技の復活に向けて動いているWBSCにとって、五輪開催国・日本で行う野球の国際大会を国際オリンピック委員会へのアピールにつなげたい考え。
日本野球機構の熊崎勝彦コミッショナーも「プロ野球は昨年80周年を迎えた。この長い歴史を大事にしながら、世界に野球を広めていかなければならないと考えている。五輪競技への復帰に向け、道が拓けたいま、国際大会が日本で行われる意義は深い」と強調し、日本として野球振興・普及への協力に尽力していく方針を明かした。
また、フラッカーリ会長は「可能性の話」と断りながら、19年開催予定の第2回プレミア12について、20年東京五輪の予選を兼ねる構想を会見で披露。「19年大会から4チームを選出し、残りの出場国は各大陸予選で選ぶのがベストと考えている」と明かした。
小久保監督「誇りと責任を持って世界一勝ち取る」
新設されたプレミア12について、優勝を狙うと話した小久保監督。選手選考は日米野球のメンバーが中心になると見られる 【写真:YUTAKA/アフロスポーツ】
侍ジャパンのメンバーについて小久保監督は「日米野球で選出したメンバーが中心となる」と発言。前田健太(広島)や金子千尋(オリックス)、嶋基宏(東北楽天)、中田翔(北海道日本ハム)らに加え、藤浪晋太郎(阪神)や大谷翔平(日本ハム)も選出される可能性がある。また、注目のメジャー帰りの黒田博樹(広島)や松坂大輔(福岡ソフトバンク)の招集については「1年間の活躍を見てから、本人とも話をして決めていく」と話すにとどめた。
さらに、メジャーリーガーの参加について、フラッカーリ会長は「2月に話し合いの場があり、そこで話し合うことになっている。シーズン終了後の開催にしたので、大きなハードルは取り除かれていると思っている。参加の可能性はあると思う」と、ダルビッシュ有(レンジャーズ)や田中将大(ヤンキース)らの参戦可能性についても言及した。
3月に欧州代表と強化試合「絶好の機会」
オランダ代表のヤクルト・バレンティンをはじめ、MLBや日本でも多くの欧州各国の選手が活躍している 【写真:YUTAKA/アフロスポーツ】
欧州野球は、13年WBCでオランダが準決勝に進出、昨秋には都市対抗で優勝した西濃運輸をフランス代表が破るなど、近年、力をつけている。日本でも東京ヤクルトのバレンティン(オランダ領キュラソー出身)、オリックスのマエストリ(イタリア)らが在籍。チームの主軸として活躍している。
今回来日する欧州代表は、世界ランキング5位のオランダ、同11位のイタリアを中心に編成され、「各国のトップ選手や、プロでプレーしている選手」(フラッカーリ会長)を招集予定だ。
一方の侍ジャパンは、シーズン開幕前の時期だが、「日米野球で選んだメンバーを基本」(小久保監督)とし、春季キャンプを視察して若手選手を積極的に起用する。小久保監督は若手にも国際試合の場を経験させ、17年WBCなどへの編成につなげたい意向を示した。
五輪競技から外された野球は、国際大会や競技のグローバル化が遅れていると、たびたび指摘されてきた。春の欧州代表戦、秋のプレミア12といった国際試合の相次ぐ発表は、五輪競技への復活、グローバル化に弾みとなることが期待される。
「2020年東京五輪で野球が復活するにあたって、世界各国で野球が行われているとアピールすることが大切で意義がある」(小久保監督)
今後、さらに野球のグローバル化が進展するか、日本野球の役割は重い。
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