心があたたかくなる!? 珍しいタイプのサバイバル映画 岡大 2014年11月25日 9:21 【(C)2014「滝を見にいく」製作委員会】 おばちゃん7人が山で迷子になる……。映画『滝を見にいく』を簡潔に説明するなら、その一文で事足りる。スポーツをテーマにしたこのサイトで取り上げることに躊躇(ちゅうちょ)しなかったわけではないが、それでも登山、ハイキング、キャンプといったスポーツ的なアウトドアと無関係ではないし、何より非常に珍しいタイプの映画なので、取り上げることにした。 監督は、南極観測隊の料理担当を主人公にした『南極料理人』、吉田修一の人気小説を映画化した『横道世之介』などで知られる沖田修一。37歳の若き人気監督がなぜこれほど地味?な題材を選んだのか。そこには大いなる挑戦があった。 滝ツアーから一転、サバイバル生活へ 【(C)2014「滝を見にいく」製作委員会】 新潟県妙高市にある幻の大滝を見にいく温泉付きバスツアーに参加した7人のおばちゃんたち。頼りないツアーガイドが道を確かめにいったきり帰ってこず、おばちゃんたちは山中に取り残されてしまう。携帯は圏外、食料もなし。おばちゃんたちは喧嘩(けんか)しながらさまよい歩くことになる……。 【(C)2014「滝を見にいく」製作委員会】 遭難の恐さを描いた映画でもなければ、サバイバル術を描いた映画でもない。実際、おばちゃんたちはガイドとはぐれた場所からけっこうすぐに移動してしまうぐらいだから、むしろ反面教師にすべきだ。しかし、おばちゃんたちのたくましさは見習うべきかもしれない。オペラ経験のあるおばちゃんの歌声をホイッスル替わりにしたり、お菓子のとんがりコーンを矢印として道標に使ったり、草相撲をしたり、山ぶどうのツタで長縄跳びをしたり。おばちゃん版『スタンド・バイ・ミー』のような映画なのだ。 前へ 1 2 次へ 1/2ページ