心があたたかくなる!? 珍しいタイプのサバイバル映画

岡大

異色の経歴を持つ出演者のおばちゃんたち

【(C)2014「滝を見にいく」製作委員会】

 沖田監督最大の挑戦は、キャスティングにある。実は、この作品には有名女優が1人も出ていないのだ。沖田監督がオーディションで提示した条件は「40歳以上の女性・経験問わず」というもの。最終的に、演技経験ゼロの素人まで起用したのだから驚きだ。主人公的な存在の純子を演じたのは、妙高市役所の地域サポート人として本作のロケハンを手伝っていた根岸遙子。ロケハン時に沖田監督から「しいて言うなら根岸さんみたいな人を想定しています」と言われてオーディションを受けたそうだ。

 他にも、高校生の時に大手映画会社のカメラテストまで行きながら、親の反対で女優を断念したという79歳の徳納敬子、イタリアでオペラ修行をした経験を持つ川田久美子など、幅広いキャラクターの女性たちが集められた。演技経験こそ少ないが、本人に近い役柄を与えられた彼女たちは、これ以上ないほど“おばちゃん”らしさを表現。あつかましかったり、たくましかったり、かわいかったり。おばちゃんたちをこれほど魅力的に描いた映画はなかなかないだろう。

滝を見にいく

【(C)2014「滝を見にいく」製作委員会】

娘からプレゼントでバスツアーに参加した根岸(66歳)、山でタバコをふかす美容師の谷(44歳)、双眼鏡で鳥を観察する関本(51歳)、腰痛に悩む桑田(59歳)、元オペラ歌手の田丸(52歳)、競うように写真を撮りまくる花沢(79歳)と三角(46歳)。7人のおばちゃんたちが山道で迷子になる。疲労と不安から一時険悪な雰囲気になるが、やがてそれぞれの境遇がわかってくるに連れて、協力し合うようになる……。『南極料理人』『キツツキと雨』などで注目の沖田修一監督による、アドベンチャー・コメディだ。11月22日(土) より新宿武蔵野館他にて全国順次ロードショー!
作品写真:(C)2014「滝を見にいく」製作委員会





映画『滝を見にいく』沖田修一監督による予告編 - YouTube

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著者プロフィール

1974年生まれ。エディター&ライター。男性誌『メンズクラブ』編集部、映画雑誌『プレミア日本版』編集部を経てフリーランスに。映画パンフレット、映画誌、カルチャー誌、ファッション誌などで編集・取材・執筆を行っている。幼少期に映画にハマって以来、心は常に文科系映画オタクだが、それに似つかわしくないほど体は体育会系で、高校時代には陸上短距離で県大会2位になったこともある(その時の1位はインターハイでも優勝)

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