障害持つ息子が父とトライアスロンに挑む 『グレート デイズ! −夢に挑んだ父と子−』

岡大

【2014 NORD-OUEST FILMS PATHÉ RHÔNE-ALPES CINÉMA】

 通常のトライアスロンは、スイム(水泳)1.5km、バイク(自転車)40km、ラン(ランニング)10kmなのに対し、「アイアンマンレース」は、スイム3.8km、バイク180km、ラン42.195km! 最も過酷な耐久レースと呼ばれる「アイアンマンレース」に挑戦した父と息子を描いた感動の映画『グレート デイズ! −夢に挑んだ父と子−』がフランスからやってくる。しかも息子は脳神経障害を持ち、車いす生活。一昨年、車いすの大富豪と黒人青年を描いたフランス映画『最強のふたり』が日本でロングランヒットしたが、アイアンマンレースに果敢に挑んだこの親子こそ真の“最強のふたり”!?

父と息子のヒューマンドラマ

【2014 NORD-OUEST FILMS PATHÉ RHÔNE-ALPES CINÉMA】

 障害を持つ息子と向き合うことができず、子育てを放棄してきた父ポール。そんな父がかつてアイアンマンレースに出場したことがあると知り、一緒にレースに出ることを提案する息子ジュリアン。母の反対、過酷なトレーニング、実行委員会からの出場却下……さまざまな困難を乗り越え、2人はアイアンマンレースを完走できるのか!? アイアンマンレースの様子を追った映画の後半、ポールとジュリアンの奮闘ぶりが清々しい感動の涙を誘う。アイアンマンレースを描きながら、父と息子の葛藤と絆をテーマにしたヒューマンドラマなのだ。

障害に負けず、挑戦を続ける少年

【2014 NORD-OUEST FILMS PATHÉ RHÔNE-ALPES CINÉMA】

 レースのリアルさもこの映画の素晴らしさのひとつ。アイアンマンレースのスタートシーンは、南フランスのニースで行われた実際のレースで撮影され、ポール役のジャック・ガンブランは、25kgのセメント袋を載せて自転車を走らせるなど猛特訓を積んで撮影に臨んだ。

 そして、彼以上の挑戦をしたのが、ジュリアン役のファビアン・エロー。彼は、実際に障害を持つ少年で、演技も未経験だったのだ。ドキュメンタリー映画『エトワール』で知られるニルス・タヴェルニエ監督が、ドキュメンタリーの製作過程で出会った障害を持つ子供たちのエネルギーに圧倒されて本作の企画を考えたという。ジュリアン役のファビアンは、今回演技に挑戦しただけでなく、自動車免許を取得したり、会社を立ち上げたりと、エネルギッシュな人生を謳歌(おうか)しているというからますます感心してしまう。

観る前に知っておきたいこと

【2014 NORD-OUEST FILMS PATHÉ RHÔNE-ALPES CINÉMA】

 ひとつ説明をしておきたいのは、レースにおける息子ジュリアンの負担について。ボートを引いて泳ぐ、自転車に息子を載せて走る、車いすを押して走る……父親だけが大変なんじゃないかと誤解してしまう人もいるかもしれないが、息子は息子で、ボートでは風の抵抗をなるべく受けない姿勢を保ち、自転車ではカーブを曲がりやすくするために父のハンドルさばきに合わせて体重移動をするなど、障害を持つ身体を必死で動かしている。このあたりは、本作に影響を与えたホイト親子の本『ホイト親子の夢と勇気の実話 やればできるさ Yes,You Can.』を読んでおくと、一層感動できるだろう。

グレート デイズ! −夢に挑んだ父と子−

【2014 NORD-OUEST FILMS PATHÉ RHÔNE-ALPES CINÉMA】

 17歳のジュリアンは、父ポールとの久しぶりの再会を楽しみにしていた。しかし、失業して戻ってきたポールは、車いすの息子とどう接していいのかわからず、口をきこうともしない。父がかつてアイアンマンレースに出場したことがあると知ったジュリアンは、「一緒にレースに出たい」と訴えるが……。口コミで評判となり、フランス全土で大ヒット! 日本でも「フランス映画祭2014」のオープニング作品として上映された話題作がいよいよ公開。配給:ギャガ。8月29日(金) TOHOシネマズ日本橋、新宿武蔵野館ほか全国順次ロードショー。

(C)NORD-OUEST FILMS PATHÉ RHÔNE-ALPES CINÉMA


『グレート デイズ! −夢に挑んだ父と子−』予告編 - YouTube
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著者プロフィール

1974年生まれ。エディター&ライター。男性誌『メンズクラブ』編集部、映画雑誌『プレミア日本版』編集部を経てフリーランスに。映画パンフレット、映画誌、カルチャー誌、ファッション誌などで編集・取材・執筆を行っている。幼少期に映画にハマって以来、心は常に文科系映画オタクだが、それに似つかわしくないほど体は体育会系で、高校時代には陸上短距離で県大会2位になったこともある(その時の1位はインターハイでも優勝)

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