世界的スター選手はなぜ日本を選ぶのか 彼らが語る日本ラグビーの魅力
「日本人が思っている以上に価値のあるリーグ」
今季からサントリーに加わった元南アフリカ代表のスカルク・バーガー 【斉藤健仁】
2012年度からトップリーグでは試合に出場できる外国人が3人から2人と減ったが、海外のトップ選手が各チームに入団する流れは止まらなかった。もはや誰が来てもほとんど驚かないのが現状だ。今シーズンもサントリーに南アフリカ代表FL(フランカー)スカルク・バーガー、東芝には南アフリカ代表のSO/CTBフランソワ・ステインらビッグネームが加入した。
そんなトップリーグを「日本人が思っている以上に世界的に価値のあるリーグ」と言うのは、パナソニックの飯島均部長だ。2012年度に「ラグビー界でもっともセクシーな選手」と称されていたNZ代表のソニー・ビル・ウィリアムズを獲得した元監督はいう。
「金銭的に見れば、フランスやイングランドの方が日本よりも上ですが、試合数が多くハードです。トップリーグはNZや豪州の選手にとって(欧州と比べて)近くて、プライベートの時間が取れる。あと日本はホスピタリティーもあり、安全という利点もある。外国の選手はお金が一番の選手もいるが、生活を大事にしている選手も多い」
昨季MVPのバーンズ「日本は環境面で良いと感じた」
パナソニックのバーンズ(中央)は昨季のMVPに輝いた 【斉藤健仁】
昨シーズンのトップリーグのMVPであるバーンズに日本に来た理由を聞いてみると「フランスや豪州でプレーしていた方が収入の面では良いかもしれないが、日本が決して安いわけではないんだ。日本でプレーする方が自分にとっても家族にとっても環境面で良いと感じた。豪州からも近いので家族も喜んでいると思う」。つまり、ラグビーとプライベートを両立するための選択だったというわけだ。
ただNZや豪州の選手たちは、代表に選出されるためには協会と契約し、南アフリカも含めた3カ国で行われている「スーパーラグビー」でプレーすることが欠かせない。そのため、両国の選手はワールドカップに出場したければ、海外でプレーすることはできない。それでも、代表でのプレーさえ考えなければ8月から開幕し1月末に終わる日本のトップリーグと、2月から始まり8月上旬に終わるスーパーラグビーと両立可能だ。実際、多くの選手がこういった選択をしている。
南ア出身選手にとっては治安の良さも魅力に
トップリーグ開幕戦でトライを決める元南アフリカ代表のピーターセン(中央下) 【斉藤健仁】
「来年のワールドカップには出場したい!」というサントリーに加入した南アフリカ代表バーガーは、日本を選んだ理由を「友人の(南アフリカ代表SHフーリー・)デュプレア(サントリー)の影響が一番です。日本のラグビー文化がすごく良くて、いかに楽しんでいるか聞いていた。給料の面でも半年間で考えると、歳を取っている選手にとっては魅力的かもしれないね」。31歳のプロ選手として、サラリーや試合数などを考慮しての来日だったことをうかがわせた。