初心者が走るのに最適なペースの作り方

青山剛

【青山剛】

 3月からスタートしたこの連載も2カ月ちょっとが過ぎようとしています。実際に動きはじめ、ランニングをされている方も多いと思います。梅雨や暑い夏がくる前にランニングを少し軌道に乗せておけば、きっと皆さんの生活になくてはならないものになるでしょう。

ランニングが楽しくないのはイメージのせい

【Getty Images】

 しかし、軌道になかなか乗らない、いわゆるランニングが楽しくなっていかない方の一番の理由は「ランニング=苦しいもの」という、イメージが付きすぎている場合があります。それは半強制参加の校内マラソン大会、また「罰としてグランド10周」的な嫌々走らされた経験、そして苦しいイメージがこびりついているせいもあります。

 皆さんがこれから行っていくランニングは、決して誰かにやらされているわけでないと思いますので、校内マラソン大会のように、嫌々頑張る必要もありません。今後この連載でも詳しく書いていきますが、ダイエット目的でランニングを行う場合、頑張れば頑張るほど脂肪が燃焼しづらいということも頭に入れておいてください。

初心者にとっての最適なペースとは

 まずランニング初心者の方が一番迷うのは、「どれくらいのペースで走れば良いか」です。上記の苦しいランニングイメージが強いせいか、初心者ほど逆に走り始めのペースが速過ぎて、10分も経たないうちに失速している方が多いようです。

 では、初心者が走る適正なペースはどれくらいなのでしょうか? まだペース感覚もないので「1キロ何分ペース」と言われても困ってしまいますよね。
 そんなとき、もっとも簡単に知る方法があります。それは「歩きをどんどんスピードアップして行き、もうこれ以上速く歩けず、走った方が楽だ」となった時に走り始めるペース。これは今までの指導経験からかなりの方に当てはまる、初心者に最適なペースなのです。

呼吸は「しっかり吐くこと」を意識して

【青山剛】

・歩きのペースを上げて行き「走った方が楽だから走り出す」ペースで!
 そして走っている時の感覚としては、「誰かと会話ができる」くらいのペースを維持し続けることが目安となります。会話ができるとは「息がしっかりはけている」ということ。

 走っている時の呼吸についてよく初心者の方から質問がありますが、私は「自然でいい」とだけ指導します。唯一あるとすれば「しっかり吐くこと」です。しっかり吐くから酸素がいっぱい入ってくるのですが、初心者の方ほど吸う意識が強すぎて、逆に酸素が入りづらい状況になっています。スポイトに水を吸わせるには、一度絞って中の空気を出してからではないと、水が入ってこないのと似ていますね。

 誰かと会話ができるペースということは、人の話が耳に入ってくる=余裕があるということにもなりますので、まずは頑張り過ぎず、余裕を持って走り始めましょう。

 頑張れば頑張るほど続かない、ランニングに限らず何事も同じですね。
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著者プロフィール

元プロトライアスリート。大学時にプロ活動を開始し、1999年世界選手権日本代表に選出される。その後トライアスリート中西真知子選手のコーチとなり、指導者としての活動をスタート。同選手を2004年アテネ五輪出場に導く。現在は、ランニング、トライアスロン、クロストレーニングのコーチとして競技者から初心者、子供、タレントまで幅広く指導。著書に『ランニング・コアメソッド』『DVDパーフェクトストレッチ100』など多数。(社)日本トライアスロン連合強化チーム・指導者養成委員 元日本オリンピック委員会・強化コーチ

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