頭突き、ローブロー、後頭部への加撃――ボクシングの反則行為とは ボクシング基礎講座 第6回

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クリーンな試合をするための厳然たるルール

ローブローでダメージを受けたアグベコが顔をしかめる。反則が見逃され、アグベコは不利な状況に陥った 【(C)NAOKI FUKUDA】

 ボクシングは同じ体重の屈強な選手同士が拳で勝敗を決める格闘スポーツだ。当然のことながら殴り合いの要素は大きいが、そこには厳然たるルールがある。今回はボクサーが犯してならぬ反則について触れよう。

 日本ボクシング・コミッション(JBC)のルールブックには、「次の各号に定める行為を反則とし、これを禁止する」とある。以下、分かりやすく要点をかいつまんで紹介しよう。

一 ローブロー(ベルトライン以下への攻撃)
ニ ダウン中の相手を打つこと
三 故意のホールドやクリンチなどを続けること
四 バッティング(頭や肩、肘などの加撃)
五 レスリング行為(足蹴り、抱え投げ、引き倒しなど)
六 ナックル(拳の甲からみた前面垂直部分)以外での打撃
七 キドニー(腎臓)ブロー、ラビットパンチ(後頭部への打撃)
八 サミング(グローブの親指部で相手の目を突く行為)
九 故意のダウン
十 無気力試合
十一 コーナーやロープに相手を押し付けて片方の手で加撃すること
十二 ブレーク後、ラウンド終了後の加撃
十三 試合中の相手やレフェリーへの暴言
十四 ロープの反動を利用した攻撃
十五 ローダッキング(攻撃を避けるため相手のベルトライン以下に体を沈めること)

 この中で比較的数多く見られる反則はローブロー、故意のホールド、バッティングなどであろう。ローブローは試合の流れを止めないためにレフェリーがジェスチャーで注意を促すだけのときもあれば、いったん試合を止めて一方に休憩を与えるときもある。注意しても反則行為が繰り返された場合は減点の対象となり、それでも改まらないときや悪質な場合は失格となり、反則負けが宣告される。

反則が正しくジャッジされないと好カードも台無しに

 2011年8月のジョセフ・アグベコ(ガーナ)vs.アブネル・マレス(メキシコ)のIBF世界バンタム級タイトルマッチでは、再三にわたるマレスのローブローが故意か偶然か主審によって見逃された。揚げ句にはローブローによってアグベコがうずくまると、それをダウンと判定し、カウントするというお粗末なレフェリングがあった。これが響いてアグベコは判定負け、王座を失ってしまった。せっかくの好カードが主審のミスによって台無しになってしまった典型例といえよう。

 バッティングは負傷、出血に直結し、勝敗にも大きく影響を及ぼすため重大な反則とみなされる。偶然の場合でも繰り返されると減点の対象となり、故意の場合は2点のペナルティーか悪質な場合は一度でも失格となることがある。

 余談だが、WBCでは世界戦で一方が偶然のバッティングで負傷した場合、負傷していない選手から1点減点して公平性を保つルールを採用している。しかし、このルールを適用する地域とそうでないところがあるため、もうひとつ徹底されていないのが現状だ。

Written by ボクシングライター原功

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